だが妻を信じた小番被告は、セクハラで訴えようと「台本」を作成。内容は、〈周到な準備で拒めないようにして姦淫した卑劣な行為。絶対許さねえぞ〉。
ところがあろうことか、妻がこの「台本」を不倫相手であるB氏に送信。しかも「旦那に送ろうとしたものです。読まずに消してください」と慌てた様子のメールまで送っている。本当に誤送信だったのかはわからないが、これが悲劇の引き金となる。
妻からその事実を聞いた小番被告は「手の内を知られた」と慌てるが、逆に「今なら相手も焦っている」と考えて事務所に乗り込むことを決意してしまう。
B氏と対面すると「(性交は)無理やりでない」と釈明されたことに怒りが爆発。顔面を殴って失神させ、陰茎を枝切りはさみで切断してしまう。錯乱するB氏に小番被告は「切ったんです。あなたが強姦したからですよ」と笑い声をあげ、切った陰茎をトイレに捨てたという。
検察は、「妻が弁護士からムリヤリ性的関係を迫られたと、被告が思い込んだこと」が犯行のきっかけと主張した。冒頭陳述を聞く限りでは男性は2人とも“被害者”に思えてしまう事件だが、小番被告が心境を明かすことはなかった。心境について担当弁護士に問うも「個別の案件についてはお答えできません」とノーコメントだった。いまもB氏は小便器で排尿ができず、生殖機能が失われたことも明らかにされた。大西洋一弁護士の解説。
「冒頭陳述の25分という長さは異例です。今後は被告人質問とともに妻やB氏の証人尋問が実現するかが焦点になる。実質的な審理は年明け以降になるはずです」
今後も検事の生々しい陳述が繰り返されそうだ。
※週刊ポスト2015年12月18日号