それにしても、数十億円もの借金をどう返したのか。加山は「いろいろな仕事をしてお返しした」というのみだが、亡くなった地井武男の人気番組『ちい散歩』の後継番組として始まった『若大将のゆうゆう散歩』(テレビ朝日系)が大きかったようだ。テレビ局関係者が明かす。
「地井さんは週5回の放送で、放送1回につき30万円の出演料だといわれていた。加山さんはさらに高額のギャラだった可能性もあり、それだけで年間で億単位の収入になります」
こんな追い風も吹いた。加山は2008年に「CR加山雄三」というパチンコ台のイメージキャラとなった。
「あれほどのビッグネームなのでライセンス料だけで数千万円のお金が動いたはず。2008年はパチンコ景気も今より良かったですしね」(パチンコ業界関係者)
テレビ、パチンコの他に地道な“稼業”もあった。
「趣味の絵画でも個展や販売会にこまめに顔を出し、さり気なくセールスする。いまも人気は健在で、月に一度銀座のクラブで行なうライブはキャンセル待ち状態。ディナーショーのチケットは4万円以上で、講演会のギャラは1回400万円なんて噂もある」(前出・芸能関係者)
まさに「いろいろなお仕事」で借金返済を果たした加山だが、事業に巨費を費やした豪快な金銭感覚の半面、実は芸能界でも評判の「倹約家」だという。
「昔から加山さん主催の打ち上げは加山宅での持ち寄りパーティー。持ち込みの担当が細かく割り当てられます(笑い)。ただし何でもケチな訳ではなく、借金を背負ってもポジティブシンキングで明るい方です」(加山の知人)
取材でもその人柄は伝わってきた。前述した銀座でのキャンセル待ちライブについて聞くと、「(知り合いの経営するクラブなので)あそこは練習場所だと思ってる。出始めて23年になるけど、ギャラはもらっていない」と語る。
そんな加山は今年7月に最後の全国コンサートツアーが終了し、9月には『ゆうゆう散歩』が最終回を迎えた。「お金が貯まったからリタイアしたのか」と勘繰ってしまうが、本人は一笑に付す。
「『コンサートツアー』は終わったけど、コンサートは続けます。来年で(歌手デビューから)55周年だけど、俺、ロックバンドを結成したんだよ。メンバーには48歳年下もいるから、ハッハッハ! 大阪で1万5000人集まるフェスにも出るし、クリスマスディナーショーもある。
この歳になったら、もうやりたいことをやりてぇと思って。画業20年で個展もしたいし、船の設計もしたい。そこら辺のじじいと変わらない歳だけど、劣化しないよう頑張るだけだよ、ハッハッハ!」
そう笑う加山は最後に本誌女性記者にキメの一言。
「○○さん(記者の名前)、とてもハキハキした声で素敵だよ、キミは。いい記事書いてくれたら、会いたくなるなぁ。ハッハッハ!」
こんな優しい気遣い(口説き文句?)まで口にするアナタは、まさしく永遠の若大将です!
※週刊ポスト2015年12月25日号