国内で手にできなかったGIのタイトル(香港のクイーンエリザベス2世カップ)を獲得したのは5歳の春。ここまで、長かったと安堵しました。今は種牡馬になり、子供たちが今年デビューします。
こうして振り返るとあっけないようですが、ルートはどうあれ、目標を達成する難しさを反芻しています。順調に勝ち上がっても、生きものですから何があるかわからない。
今年の3歳も「超」のつく良血揃いです。ルーラーシップの全弟ショパン。ブエナビスタの半弟エルプシャフト、アパパネの半妹パローマ、ウオッカの子タニノアーバンシー。ダンスインザムードの子カイザーバル……。調教師としては楽しみな半面、責任も重大です。
そんななか、昨年暮れにリオンディーズが朝日杯FSで勝ったのはうれしい出来事でした。日米のオークスを勝ったシーザリオの子で、半兄がエピファネイア。クラシック戦線での活躍が期待できそうです。
●すみい・かつひこ:1964年石川県生まれ。中尾謙太郎厩舎、松田国英厩舎の調教助手を経て2000年に調教師免許取得。2001年に開業、以後14年で中央GI勝利数23は歴代2位、現役では1位(12月20日現在)。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。競馬の他、馬文化普及や障害者競馬などにも尽力している。主な管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、エピファネイアなど。
※週刊ポスト2016年1月29日号