内観を具体的に進めるには、過去を紙に書き出したり、養育費を計算する場合もある。

「両親についての記憶を探るときは、お母さんに食事を作ってもらった回数や、かけてもらった養育費なども計算します。そうすることで、それまでは親に対して散々悪口を言っていた人も、一切言わなくなります。自分が愛されていたことが、再確認できるからです。それが内観のいちばんの特色です。こちらがああしてください、こうしてくださいと言うことはありません。こちらがすることは、自分で気づいて変わろうとする内観者をサポートすることだけです」(大山さん)

 この集中内観の間は、テレビを見たりお酒を飲んだりはできない。携帯電話を使用することもできない。参加者同士はたとえ家族であっても私語厳禁。そうやってひたすら自分と向き合うことがつらく、脱落する人もいるが、1週間を内観に費やしたことで、それまでとは違ういろいろなことに気づき、本当の自分を見出せた人からは、大山さんの元に、多くの感謝の言葉が届けられるという。

「最初は、1日でもいいので、きちんとした指導者がいるところへ行ってください。そうしないと、してもらっていないことを思い出したり、迷惑をかけられたことばかりを思い出したりしてしまいます。それでは逆効果になる恐れがあります」(大山さん)

 1日という時間さえ捻出するのが難しい人には「Eメール内観」という方法がある。これは、1か月間、1日1回のメールのやりとりで内観を進めていくというものだ。都合のいい時間に内観をし、その内容をメールで送ると、1日以内にコメントのついた返事が返ってくるという。

※女性セブン2016年1月28日号

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