朴槿恵大統領は3年目の年頭記者会見の際、韓国メディアから「退任後、どんな大統領だったといわれたいか?」と質問されたことがある。その答えは「経済再跳躍の基礎を作った大統領、南北平和統一の基礎を作った大統領といわれたい」だった。

  たしかに経済には終始、一生懸命である。創造経済(先端ベンチャーと既存産業を融合した成長戦略)推進、若者の雇用拡大、各種事業規制撤廃、労働市場自由化など、掛け声は盛んだ。鈍化した経済成長を何とかアップし雇用拡大につなげたいというわけだ。

 しかしこれは言うはやさしでなかなか結果が出ない。日本の“アベノミクス”のような期待値にもなっていない。それに輸出依存度が極度に高い韓国経済にとって、ここにきての中国経済の成長鈍化は痛い。新年も好材料は見当たらない。

「経済」は世界各国で誰がやっても難しい。なかなか業績は上げられない。となると残るもう一つの「南北」、つまり北朝鮮問題に活路を見出すしかない。

 彼女としては、北朝鮮問題ではこれまでそれなりに手を打ってきたつもりだ。中国との“密着外交”がそれである。中国経由で何とか北を動かしたいというわけだ。これが朴政権の対中接近に不快感が強い日米に対する最大の言い訳でもあった。

 それだけに、このまま北朝鮮および南北関係に何の動きも変化もなければ、国民に対してはもちろん、日米にも顔向けできない。朴槿恵大統領は残る任期の2年間、「北を何とかしなければ」という強迫観念にさいなまれることは間違いない。

 しかし南北問題はひとえに北朝鮮の出方しだいだ。北は当然、朴槿恵大統領のそうした足元を見ている。ちなみに盧武鉉元大統領の平壌訪問は政権末期で、退任が迫った次期大統領選の直前(2007年10月)だった。

 朴槿恵大統領の最大の業績作りとして“対北強迫観念”を癒してくれるのは、金正恩第一書記との初の南北首脳会談しかない。

●文/黒田勝弘(産経新聞ソウル駐在客員論説委員)

※SAPIO2015年2月号

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