川原:手品は漫才師のWケンジの弟子だった時代、いろんなマジシャンとも仕事が一緒になって、その時に教えてもらったんです。もう30年前になりますね。
催眠術を覚えたきっかけは、友人のプロマジシャンと再会した時に、突然、彼が催眠術を始めて、女の子が椅子から立てなくなったんです。「これなに?」って聞いたら「催眠術だ」って。玉ねぎをりんごだと言って、食べると本当にりんごの味がしたり、水で酔っ払ったり。これはすごいなと感心しました。
初めは半分冗談だと思っていたんだけど、それを見て、面白い、ぼくもやりたいと思って。それが13年くらい前です。私に催眠術を教えてくれた十文字幻斎は、今では“閃光の催眠術師”として知られ、国内トップレベルの催眠術師です。そもそもがマジシャンだけにラポールを作る天才でもあるんです。私は十文字幻斎の一番弟子ということになります。
――玉ねぎがリンゴ味になったり、立てなくしたりというのは、川原さんもできる?
川原:もちろん。
――催眠術を極めるのは大変そうですね。
川原:いえ、基本的な事なら2、3日で修得出来ます。あとは恥をかく回数。失敗しても「俺はだめだ」と諦めず、この人はかからないだけだと思うこと。別のやり方をすればかかるかもしれないし、同じやり方でも、別の人にはかかるかもしれない。くじけちゃだめです。でも一番大切なことは、堂々とやることです。いつでも教えます。
――「くじけない」というのは川原さんの信念だったりもするのでしょうか?
川原:どうなんでしょう? ぼくはそこまでの負けん気はないですね。どちかというと「ケセラセラ(どうにかなるさ)」って生き方の方が強いかも…今さらかもしれませんが、ぼくの原点はラーメンですので、今年は、強力なスポンサーでも見つけて?「なんでんかんでん」を復活させて、全国100店舗を目指そうと思っています。夢は大きく上場なんてことも…「なんでんかんでん」って元々、“なんでもかんでも”って意味だから、なんでんかんでんイタリアン、なんでんかんでんチャイニーズなど…いろんな店舗展開もできますからね。
【川原浩史(かわはら・ひろし)】
1964年3月13日生まれ。福岡県出身。1983年、東芝レコードから作曲家としてデビュー。オペラ、シャンソン、タンゴ、ポップス歌手としても活動。前座歌手をきっかけに、昭和の大御所漫才師・Wけんじの弟子となり芸人活動も開始。1987年、世田谷区で東京では珍しかった博多豚骨ラーメン『なんでんかんでん』をオープン。連日大行列となる。なんでんかんの成功をきっかけに、日本はラーメンブームが起きる。2012年、本店を閉店。現在は、芸能活動、講演、接客セミナーを中心に活動中。http://nandenkanden.tokyo
撮影■浅野剛