「4500mくらいまでは、そんなにつらくなく行けたんですけど、それを過ぎたら、急に背後に命の危険を感じましたね。落石も雪崩もあるし、寒さも違うし、空気も薄くなってきて。夜寝ていても微妙な頭痛がして、何度も目が覚めるんです。2時間くらい眠ると、頭が痛くなって、これはやばいなって(笑い)」
──そんな思いをしての撮影だったんですか!
「スタッフとはぐれたりすると、死ぬ確率がグンと高くなるのがわかる。実際に、いつ死んでもおかしくないって、常に思っていました。だから、トイレに行くのも緊張しましたね。エヴェレストの大きさから見たら、ぼくら撮影スタッフなんて“点”でしかないですしね」
──その過酷さは画面にも余すところなく描かれていますね。ホントに大迫力でした! でも私は絶対行きたくないです!! あっ、すみません。
「ハハハ。すごいところに来たな、と思いましたよ。氷河が巨大な石を持ち上げている光景なんて、CGみたいな世界ですし。でも、夜中にトイレに起きた時、ヤクが眠らないで動いているのを見て、すごいな、こんなところで1頭でも生きている、と感動するわけです。自分も動物の社会というか、神の世界に近づいていくのを感じました。同時に自分の無力さも感じて帰ってきましたけど(笑い)」
取材・文■活動屋映子
※女性セブン2016年3月17日号