ビジネス

「秘本」「部活」「こたつ」 天狼院書店が繰り出すアイデア

東京・池袋の天狼院書店

「秘本」「部活」「こたつ」──。東京、京都、福岡に3店舗構える『天狼院書店』は、独特なアイデアが話題だ。

 黒いブックカバーで覆われた「秘本」は買うまで中身がわからず、読んだ後も口外禁止。昨年、この企画に興味を持った糸井重里氏が篠原勝之著の『骨風』を秘本にしたいと店に相談したが、出版社に在庫が20冊しかなく、頓挫しそうになった。すると、店主の三浦崇典氏は「面白いのに陽が当たらない本を売ることも大事」と出版社に1000冊買い取る約束をして重版させた。「糸井重里秘本」と銘打って販売すると、1日半足らずで完売した。

 店のコンセプトである「1冊の本を中心に、買う前も買った後も楽しめる書店」を実践するため、「秘本」は一定期間を過ぎると「ご開帳」され、購入者限定イベントも後日、行なわれる。

 このほか、ハウツー本は読むだけでは物事が上達しないという考えから、著者を講師としたフォト部、落語部などの部活を開催し読者と交流も図る。

 また、「お客さんのほうが面白い本を知っている」という発想から、毎週日曜には10~20名で読書会を開催。その推薦本が店内の棚に100冊以上並び、売れなければ入れ替わるが、半年以上残り続ける本もある。

 2500円以上書籍を購入した客が抽選で店内の棚に好きな本を並べられる「天狼院ボックス」も好評で、サメがテーマの本だけを揃えた人もいた。その他、店内にあるこたつはカフェメニューを注文すると利用でき、電源やWi-Fiも使える。夏は中に扇風機を入れて「冷やしこたつ」に変身。本を楽しむための企画が盛りだくさんだ。

「普段なかなか手に取らない本に出会えます。お客さんと一緒に店を作っています」(山中菜摘店長)

■撮影/渡辺利博

※週刊ポスト2016年4月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

維新はどう対応するのか(左から藤田文武・日本維新の会共同代表、吉村洋文・大阪府知事/時事通信フォト)
《政治責任の行方は》維新の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 遠藤事務所は「適正に対応している」とするも維新は「自発的でないなら問題と言える」の見解
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
《高市首相の”台湾有事発言”で続く緊張》中国なしでも日本はやっていける? 元家電メーカー技術者「中国製なしなんて無理」「そもそも日本人が日本製を追いつめた」
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《バリ島でへそ出しトップスで若者と密着》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)が現地警察に拘束されていた【海外メディアが一斉に報じる】
NEWSポストセブン
大谷が語った「遠征に行きたくない」の真意とは
《真美子さんとのリラックス空間》大谷翔平が「遠征に行きたくない」と語る“自宅の心地よさ”…外食はほとんどせず、自宅で節目に味わっていた「和の味覚」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新の首相補佐官に「秘書給与ピンハネ」疑惑ほか
NEWSポストセブン