連ドラのレギュラー役をもらったのは、30代を目前にした年齢だ。決して順風の俳優人生ではない。だが谷原はそれに挫けることなく、俳優の道を邁進する。2004年にはNHK大河ドラマ『新選組!』に出演。2005~2008年にかけて、15クール連続でテレビドラマ出演という快挙を達成する。
2008年には『ハンサム★スーツ』で映画初主演も果たした。そんな時に谷原は、『王様のブランチ』という生放送の司会のオファーを受ける。34歳の時だ。
「正直、悩みました。俳優の自分がやっていいものか、と。ドラマでご一緒した児玉清さんが背中を押してくださって、悩むより一歩踏み出してみよう。この経験は“今しかできない”と思ったんです」
仕事が1年以上なかった時期を経験している谷原は、オファーのありがたさもわかっている。相手が自分を欲しているなら、それに応えたいという思いもあった。こうした経験は俳優業にも繋がると谷原は信じている。
「どんな経験も無駄じゃないと思っているんです。例えば子供と過ごす時間もそうです」
谷原は6児の父でもある。一番上は中学生、下はこの春に1歳になったばかりだ。
「子育ても、“今”しか体験できないことです。どの子も、10年も経てば手を離れてしまいますから。僕自身、親と子で記憶を共有したい。だから子供たちや家族の夕食を作ることもあるし、妻に代わって上履き袋も縫いました。子供との時間を作るためなら睡眠時間も削ります。
10年後、自分が役者を続けられているかわかりませんが、こうして司会の仕事をさせていただいていること、子供たちと過ごした時間は、無駄にならないと思うんです。その経験が役に生きればいい」
【プロフィール】たにはら・しょうすけ/1972年、神奈川県出身。身長183cm。雑誌『メンズノンノ』の専属モデルを経て、1995年に俳優デビュー。2007年より『王様のブランチ』の司会者に。今月12日からは司会を務める新番組『うたコン』がスタート。22日には主演ドラマ『ドクター調査班~医療事故の闇を暴け~』も始まる。
■撮影/国府田利光 ■取材・文/角山祥道
※週刊ポスト2016年4月29日号