芸能

カラオケ★バトル優勝・林部智史 デビューまでの紆余曲折

数多の苦難を乗り越えて歌手デビューを果たした林部智史

 透き通るような繊細な歌声、切なく胸に響く歌詞――。

 絶対的な歌唱力で聴く者の涙を誘う、歌手の林部智史(27才)。30~60代の女性たちを中心に「泣ける!」と、支持を集めている。

 2月にデビューしたばかりの新人ながら、ライブが完売する盛況ぶり。傍目には順風満帆な歌手生活にも映るが、その裏では人知れず苦悩を抱え、もがき続けた。

「幼稚園の頃から歌手に憧れていたんです。でも兄も姉も進学校に通っていて、自分もその後に続くべきだと思っていた。ウチの家庭で『歌手になりたい』という選択肢は許されないと思い込んでいたので、家族にも友達にも歌手になる夢を語ったことはなかった。自分の中で封印してきたんです」

 高校卒業後は看護の道を志して専門学校へ通うが、受け持った患者の死に心のバランスを崩し、挫折してしまう。原因不明の高熱にうなされ、引きこもる日々。同じくうつ病を経験した姉の助言で沖縄へ向かい、運気が変わった。

「ひとり旅に戸惑いましたが、沖縄で気持ちが軽くなって、日本1周の旅に出たんです。思い返せば、行く先々でギターを弾く人に出会い、いつも笑顔で歌っていた。北海道の礼文島で歌っていた時、『(その歌声で)歌手を目指さないのは、おかしいよ』と言ってもらって、ようやく、心の扉が開きました」

 一念発起し、EXILEのATSUSHIらを輩出した音楽専門学校へ23才で入学。学費を稼ぐために、2年間、毎朝2時起きで新聞を配った。実力を発揮して主席で卒業するものの、その後は自ら、歌の道を離れてしまう。

「在学中に100以上のオーディションを受けても惨敗で、主席になっても、所属先も決まらない。『歌はもう無理だった』と、見切りをつけたんです。ただ、その時に恩師が『今は止めないが、“音楽がやめさせてくれない時”がきたら、進むしかない』と声をかけてくれていて。卒業の翌年に『THEカラオケ★バトル』(テレビ東京系)のお話をいただいて、『あ、きたな』と、直感しました」

 同番組では、番組史上初の連続100点を記録。ファンを獲得して、デビューの夢もつかんだ。

「ひとりでも多くの人の心に寄り添い、ぼくの歌を届けたい。歌詞に込めた想いを伝えたくて、全身全霊で気持ちを込めて歌います」

 熱き炎を胸に、27才の新人は歌の道をまっすぐに歩み始めた。

【プロフィール】
林部智史(はやしべ・さとし)/1988年5月7日、山形県生まれ。ESPミュージカルアカデミーヴォーカルコースを主席で卒業。『THEカラオケ★バトル』(テレビ東京系)で2015年間チャンピオンを獲得。2月24日に『あいたい』でデビュー。6月(神奈川)、7月(山形)開催のライブ『林部智史、始まりました。~あいたい~』のチケットが発売中。

撮影■藤本和典

※女性セブン2016年5月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン