芸能

野々すみ花 宝塚退団4年にして「料理屋女将」の地位確立

「女将」がよく似合う野々すみ花(公式HPより)

 NHKの朝の連続テレビ小説『あさが来た』で洋食屋の女将役を好演した野々すみ花(29才)。話題のドラマ『重版出来!』(TBS系)でも演じているの、やっぱり小料理役の女将だった。彼女の“女将っぷり”についてコラムニストのペリー荻野さんが迫る。

 * * *
 放送中の『重版出来!』は、久々のスポ根お仕事ドラマである。主人公の黒沢心(黒木華)は、子供のころからオリンピック目指して柔道一筋。しかし、ケガで挫折し、頑張って大手出版社に入社。マンガ雑誌「週刊バイブス」に配属された。編集部の紅一点の心は、「力と体力だけはあるんで頑張ります!!」と前向き一直線だが、初回から大御所漫画家がネットの中傷を受けて連載を休むと言いだしたり、やる気がないバイブスの営業担当と書店周りをしたり、担当した売れっ子漫画家と激論になったりと大忙し。ついには涙もポロリ…。

 そんな心がほっと一息つける場所が、「小料理屋 重版」。すごいな、この名前。その女将ミサトを演じているのが、野々すみ花だ。バイブス編集部行きつけのこの店は、昼夜関係なく働く編集者のために夜だけでなく、ランチもやってるありがたい営業体制。よーく見ると品書きは「お茶漬け」「おにぎり」「卵焼き」「お刺身」などいたってシンプルだ。

 L字型カウンターの正面には、心や大食いの先輩 (荒川良々)やだんだんやる気を出した営業の小泉(坂口健太郎)が陣取って元気よくご飯を食べている。粋な着物姿の女将は、隅っこの席を定位置にしているバイブス副編集長五百旗頭(オダギリジョー)となんだかいい雰囲気なのである。そんな中、心が突如「重版出来ダンスを考えました!」と踊り出すと、五百旗頭は目を三角にして「俺の隠れ家を荒らすな」「出禁」などと嫌な顔。しかし、女将は「ずいぶん楽しそうね」とにこにこと優しいのである。
 
 この店に行ってみたい!そう思う読者は多いと思う。野々すみ花といえば、つい三月まで朝ドラマ『あさが来た』で、主人公あさ(波瑠)の夫新次郎(玉木宏)の行きつけの洋食屋晴花亭の女将美和役だった。先日、BSプレミアムで放送されたスピンオフドラマ『割れ鍋にとじ蓋』では、晴花亭の中で、あさの店の番頭亀助(三宅弘城)と嫁ふゆの父(上杉祥三)との騒動が繰り広げられた。そこで明らかになった美和の過去写真。大坂一とも日本一ともいわれた元芸妓姿の美和にうっとり。そんな彼女の接客と料理。当然、食器の趣味などもいい。ここにも通ってみたいです!! 
 
 野々すみ花は、トップ娘役として人気を博した宝塚を退団後、わずか四年で「理想の料理屋女将」という十八番を獲得したのだ。このジャンルで活躍する女優といえば、古くは『はぐれ刑事純情派』でやもめ刑事の藤田まことが夜な夜な通った高級バー「さくら」のママ由美(眞野あずさ)、現在では『相棒』シリーズで杉下右京(水谷豊)が通う「花の里」の二代目女将幸子(鈴木杏樹)である。

 興味深いのは、ミサトは「年齢不詳、素性不詳のミステリアスな女性」となっていること。ひょっとすると今後、何か物語に関わってくるのか? それにしても野々すみ花本人は年齢不詳ではなく、あの落ち着きでまだ二十代ってことにちょっと驚き(1987年2月生まれ)。息の長い女将生活が送れそうである。

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