スポーツ

スピード出世の幕内・正代 ファンに愛されるネガティブ思考

個性的なキャラクターの正代(24・前頭2枚目)

 立ち合いでは変化することなく、右四つで一気に前へ出る。真っ向勝負、強気の相撲の取り口で注目されているのが、正代(しょうだい・24=前頭2枚目)だ。

 183cm、160kg。恵まれた体格を武器に、東京農大2年時に学生横綱になった逸材である。名門・時津風部屋に入門後すぐに頭角を現わし、今年1月場所で新入幕を果たすと、いきなり10勝5敗の好成績を収めて敢闘賞を獲得する。初土俵以来12場所目での三賞受賞は、初代若乃花に次いで史上2位の速さだ。続く3月場所も勝ち越し、迎えた今場所は上位陣と総当たりする地位まで一気に番付を上げた。

 誰もが認める大器である。しかし彼の魅力はそれだけではない。取り口からは想像もつかないその素顔が、ファンの心を鷲掴みにしているのだ。

 きっかけは十両昇進の会見だった。昨年7月、大勢の報道陣を前に、何度も額の汗を拭いながら、「緊張して前夜から寝付きが悪かった」と終始硬い表情。対戦したい相手を聞かれると、こう即答した。

「全然ない。できれば誰とも当たりたくない……」

 悲観的なコメントに、横にいた師匠(時津風親方=元幕内・時津海)も呆れ顔。これを機に「ネガティブ関取」というありがたくない称号を授かったのだ。正代は当時を思い出して頭をかく。

「対戦相手のことは幕下だったので想像がつかなかっただけで、そんなネガティブじゃないんですけど……いや、違うな。確かに、どちらかといえば前向きな性格じゃないですね(笑い)。

 本場所中はかなり緊張します。十両昇進を決めた最後の相撲は土俵上で具合が悪くなったし……。対戦相手を想像すると、緊張して飯も食えなくなる。十両時代は当日になってから、対戦相手を教えてもらうようにしていました」

 そのため対戦相手をビデオで研究することもしないという。

「それに僕、負けるとクヨクヨするタイプで。負けた悔しさが残って、寝床に入っても、ああすればよかった、と反省ばかり。大学時代は1日に何番もあってそれで調子を上げたけど、1日一番というのがなかなか慣れなくて(苦笑)。関取になって出番が増えたからいいんですけど、十両に上がる前は2日に一番だったので、負けると気分転換できなくてキツかったです……」

 力士になったのも強い理由があったからではない。小学1年生から始めた相撲をここまで続けてきた理由は「なんとなく」だった。

関連記事

トピックス

アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
センバツでは“マダックス”も達成しているPL学園時代の桑田真澄(時事通信フォト)
《PL学園・桑田真澄》甲子園通算20勝の裏に隠れた偉業 特筆すべき球数の少なさ、“マダックス”達成の82球での完封劇も
週刊ポスト
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン