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妻を震災で亡くした男性 遺族年金受給されず悲しみ

 配偶者を亡くした遺族には「遺族年金」が支給される。しかし、2014年3月までに妻を亡くした夫には、遺族基礎年金は支給されなかった──。厚生労働省の全国母子世帯等調査によれば、父子家庭は現在、全国に22万3000世帯。その世帯平均年収は455万円。ふたり親世帯の平均収入658万円を大きく下回る。なかには、遺族基礎年金を受給できずに、厳しい経済状況を強いられる父子家庭もあるのだ。

 東北地方在住の長距離トラック運転手・清水正幸さん(50代、仮名)は、東日本大震災で7才年下の妻を亡くした。

「その日、東京に向かうため午後2時に自宅を出ました。女房はパートに出ていたので“行ってきます”の言葉も交わせませんでした」(清水さん)

 その46分後に起きた大地震。清水さんが混乱の中、必死の思いで家に戻ると、あるはずの家はなくなっていた。家族とは連絡がつかない。「なんとか生きていてほしい」──清水さんは、避難所や学校などを捜し回った。子供たちとは10日後に無事再会できた。それから25日後、妻と対面した。

「会社から連絡があって、安置所の体育館に行ったんです。女房が涙を流すんです。会えてよかったって感じで。遺体が涙を流すなんて、ビックリしたんだけど。その瞬間から黒くなっていった。おれとか子供とかを待ってたようだよね。ほんの5、6時間の間に、遺体が真っ黒になってしまった。女房は亡くなったけど、周りの人たちも誰かを失ってるのね。だから、いつまで経っても、悲しいと周りの人に言えなかった」

 仕事柄、家を空けがちだったため、18才未満の3人の子供の世話や家のことは、妻に任せっきりだった。家ごと流されていたから、通帳はない。ましてどこの銀行に預けているかさえわからなかった。

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