ビジネス

東京五輪招致贈収賄疑惑 国会で電通が「D社」になった理由

国会質疑でも電通は「D社」(電通HPより)

 英国の高級紙ガーディアン紙が5月11日に仏当局の捜査情報をもとに、東京五輪の贈収賄疑惑を報じると、日本でも各メディアが一斉に疑惑を報じた。その疑惑とは、BT(ブラック・タイディングス)社というシンガポールのコンサルタント会社が日本の広告代理店最大手・「電通」から約2億3000万円を受け取り、その後、開催地を決める票を投じる権限を持つIOC委員のラミン・ディアク氏と何らかの接触があったのでは、というものだ。

 しかし、英紙が疑惑の鍵を握る組織として報じた電通の名を報じる日本メディアは数えるほどしかなかった。電通は、日本の広告費の多くを握っているため、メディアが遠慮しているのでは? と見る向きもある。

 しかし及び腰はメディアだけではない。国会で竹田恒和JOC会長に質問した民進党の玉木雄一郎・衆院議員が質疑用に準備した相関図のフリップには、「電通」は「D社」と記されていた。なぜ「電通」と具体的に書かなかったのか。

 玉木氏に理由を訊くと、

「フリップは事前に提出して使用の承認を得る必要がある。その際に与党側理事から『会社の了解を取ったのか』などと待ったがかかると面倒だからイニシャルにした。企業名は口頭で補足すればいいと考えた」

 と説明する。玉木氏に自主規制の意図はなかったにせよ、政治家の間でも「電通疑惑」を敬遠する空気を感じさせる。全国紙政治部記者の話。

「選挙では政党CMが流されるが、政党はCM作りや放送番組選定は門外漢。特に自民党は電通に頼りきりです。参院選を間近に控え大事にしたくないのでは」

 当の電通は今回のガーディアン紙の報道をどう受け止めているのか。

「当社は招致委とBT社の契約には関与しておりません。またAMS社とはビジネス上の取引がありますが、電通スポーツの子会社、関連会社ではなく、電通およびグループとの資本関係もありません」(広報部)

 海外の捜査機関が動いており電通の関わりが注目されている以上、最初から報道の全容を紹介し、電通に真相を質すのがジャーナリズムの常道ではないか。

※週刊ポスト2016年6月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

CM露出ランキングで初の1位に輝いた今田美桜(時事通信フォト)
《企業の資料を読み込んで現場に…》今田美桜が綾瀬はるかを抑えて2025年「CM露出タレントランキング」1位に輝いた理由
NEWSポストセブン
亡くなったテスタドさん。現場には花が手向けられていた(本人SNSより)
《足立区11人死傷》「2~3年前にSUVでブロック塀に衝突」証言も…容疑者はなぜ免許を持っていた? 弁護士が解説する「『運転できる能力』と『刑事責任能力』は別物」
NEWSポストセブン
アスレジャー姿で飛行機に乗る際に咎められたそう(サラ・ブレイク・チークさんのXより)
《大きな胸でアスレジャーは禁止なの?》モデルも苦言…飛行機内での“不適切な服装”めぐり物議、米・運輸長官がドレスコードに注意喚起「パジャマの着用はやめないか」
NEWSポストセブン
(左から)小林夢果、川崎春花、阿部未悠(時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫の余波》女子ゴルフ「シード権」の顔ぶれが激変も川崎春花がシード落ち…ベテランプロは「この1年は禊ということになるのでしょう」
NEWSポストセブン
吉野家が異物混入を認め謝罪した(時事通信、右は吉野家提供)
《吉野家で異物混入》黄ばんだ“謎の白い物体”が湯呑みに付着、店員からは「湯呑みを取り上げられて…」運営元は事実を認めて「現物残っておらず原因特定に至らない」「衛生管理の徹底を実施する」と回答
NEWSポストセブン
小磯の鼻を散策された上皇ご夫妻(2025年10月。読者提供)
美智子さまの大腿骨手術を担当した医師が収賄容疑で逮捕 家のローンは返済中、子供たちは私大医学部へ進学、それでもお金に困っている様子はなく…名医の隠された素顔
女性セブン
英放送局・BBCのスポーツキャスターであるエマ・ルイーズ・ジョーンズ(Instagramより)
《英・BBCキャスターの“穴のあいた恥ずかしい服”投稿》それでも「セクハラに毅然とした態度」で確固たる地位築く
NEWSポストセブン
北朝鮮の金正恩総書記(右)の後継候補とされる娘のジュエ氏(写真/朝鮮通信=時事)
北朝鮮・金正恩氏の後継候補である娘・ジュエ氏、漢字表記「主愛」が改名されている可能性を専門家が指摘 “革命の血統”の後継者として与えられる可能性が高い文字とは
週刊ポスト
箱わなによるクマ捕獲をためらうエリアも(時事通信フォト)
「箱わなで無差別に獲るなんて、クマの命を尊重しないやり方」北海道・知床で唱えられる“クマ保護”の主張 町によって価値観の違いも【揺れる現場ルポ】
週刊ポスト
火災発生後、室内から見たリアルな状況(FBより)
《やっと授かった乳児も犠牲に…》「“家”という名の煉獄に閉じ込められた」九死に一生を得た住民が回想する、絶望の光景【香港マンション火災】
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン