申請を受け付けた裁判所は検察側にも意見書の提出を求めました。裁判所では双方の主張をもとに請求額が妥当かなどを判断します。これは政府相手の訴訟ではなく、あくまで形式的な審理です。韓国側は無理な裁判を起こしたのだから、最低限の実費くらいはすんなり支払うと考えていました。

 しかし、やはり一筋縄ではいきませんでした。検察側は、起訴されたのは記事を書いた私の責任で、したがって実費を払うべきではないと主張しているようです。

 ソウル新聞も朝鮮日報も、私が日本人だから、あるいは産経の記者だから実費を請求したことに文句を言いたくなったのでしょう。しかし、それなら裁判で無罪となった韓国人も請求してはいけないことになります。

 ちなみにソウル新聞に対しては、記事の訂正を求める文書を送りましたが、反応は一切ありません。

【PROFILE】1966年生まれ。1991年産経新聞東京本社入社。社会部、外信部などを経て、2010年からソウル特派員。2011年、ソウル支局長。現在は社会部編集委員。著書に『なぜ私は韓国に勝てたか』(産経新聞出版)。

※SAPIO2016年7月号

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