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独走状態の広島に「包囲網」を敷けないセ5球団のジレンマ

リーグトップの9勝。安定感抜群の野村祐輔

 広島カープの勢いが止まらない。6月29日には32年ぶりとなる11連勝を記録。2位・巨人とのゲーム差は9と、今シーズン最大まで広がっている。セ・リーグで6月時点でゲーム差9となったのは、2003年の阪神以来となる(その年、阪神はリーグ制覇)。

 通常、首位チームの独走が始まると、下位チームはこれ以上ゲーム差を離されるわけにはいかないと“包囲網”を敷き、各チームのエース格や表ローテを首位チームにぶつけ、独走阻止を狙うものだ。23日には巨人・高橋由伸監督が「特定のチームに勝っても優勝はできないが、今は上にいるチーム。そこに離されないようにしないと」「うちだけじゃなく、(セ・リーグの)他にも頑張ってもらわないとね」と発言し、他の4チームにも“広島包囲網”を呼びかけている。

 だが、その思惑とは裏腹に、包囲網はまったく機能していない。スポーツ紙記者が語る。

「今は広島以外の5チームが団子状態。もちろん各チーム、広島を引きずり下ろして優勝を狙いたい、という気持ちはあるでしょうが、これだけゲーム差が開いているわけですから、まずは3位以内に入ってCS(クライマックス・シリーズ)出場の権利を勝ち取ることのほうが現実的です。広島にエース格をぶつけて、他チームから取りこぼしていては、CS争いからも脱落して早々に“終戦”してしまいますからね。まずはAクラスの足場を固めてから、広島に挑もうと考えているのではないでしょうか」

 下位チームが団子状態だけに、現時点ではどのチームにもCS出場のチャンスがある。それが逆に、広島独走を許す事態となっているというのだ。

「実際、包囲網の“言い出しっぺ”である巨人ですら、エース・菅野智之を中5日で回せば7月12日・13日の広島戦にぶつけられるというのに、次戦は中7日で7月2日のヤクルト戦に登板させる予定。こんな抜け駆けをされては他チームも包囲網を敷こうなんて気にならないでしょう。各チーム、広島の独走を許したくない反面、少しでも勝ち星を増やすにはどうすればよいか、ジレンマを抱えているようです」(同前)

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