芸能

加藤諒なぜ人気? 芸歴16年の引き出しとネガポジ変換力

加藤諒オフィシャルブログより

 独特の髪型に強烈な太眉、そしてオネエキャラ―― 一度、見たらなかなか忘れられないインパクトで今、バラエティーからドラマまで、引っ張りだこなのが加藤諒(26才)だ。「上半期の顔」と断言するテレビ解説者の木村隆志さんが、加藤の人気の秘密に迫った。

 * * *
『しゃべくり007』(日本テレビ系)、『VS嵐』(フジテレビ系)、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などの人気バラエティーのほか、新番組『モシモノふたり』(フジテレビ系)では記念すべき第1回のメインゲストに選ばれるなど、加藤諒さんは、ぺこ&りゅうちぇるさん、メイプル超合金と並んで、2016年上半期の顔とも言っていいでしょう。

 その顔は、往年のギャグ漫画『おぼっちゃまくん』の御坊茶魔、『ハイスクール!奇面組』の冷越豪、『行け!稲中卓球部』の田原年彦の“実写版”と言われる面白さ。言葉づかいと仕草は、新宿二丁目のオネエそのもの。加藤さんの武器が「一度見たら忘れない」ビジュアルであることは間違いありません。

 ただ、ビジュアルのインパクトが強い分、“出落ち”に終わるリスクが高くなるものですが、芸歴16年の加藤さんは引き出しの多さを見せて、見事に対応。軽妙なトークとダンスで番組の盛り上げ、笑いを取っています。

「実はカツラをかぶっている(カツラを取ってもほぼ同じ髪型)」「7つ連続でアルバイトの面接に落とされた」「深夜に寂しくて知り合いに自撮りメールを送りまくる(ドン引きされる)」など、しっかりネタを仕込んで笑いを取る話術は、子役時代に『あっぱれさんま大先生』(フジテレビ系)で鍛えられたものでしょう。

 その他にも、オネエ疑惑を必死で否定してエロさをアピールしたり、ホラー映画への愛を語るときに怖い顔で笑わせたり、動物好きのエピソードで気味が悪いほどデレデレしたりなど、話題豊富な上に表情も豊かなため、簡単に飽きられることはありません。

 また、動きの面白さは本来、芸人の役割なのですが、加藤さんのコミカルなダンスは芸人のネタに負けない面白さ。身長160cmの小柄な体で踊るだけで面白いのですが、きゃりーぱみゅぱみゅさんの『にんじゃりばんばん』、エグスプロージョンの『本能寺の変』などのキャッチーな振り付けを完全コピーすることで、強烈なインパクトを残しました。さらに、「ファミリーマートの入店メロディ」などのBGMに合わせて踊る器用さもあり、スタッフにしたら「このあたりで一度踊って盛り上げてもらおうかな」という計算が立つのです。

 つまり、「座ってよし、立ってよし」であり、レギュラーもゲストもひな壇もワイプもOKのオールラウンダー。しかも芸人からアイドルまで、「誰がどんなイジリをしても許される」スキがあるため共演者を選ばないのも、キャスティングされる上での強み。特に明石家さんまさんや中居正広さんなどの大物MCに愛されていて、そのイジリ方は「今コイツに振れば必ず笑いが生まれる」という確信犯的なものがあります。

 一方、視聴者からみた加藤さんは、「身近にいたら微妙だけど、テレビで見る分には面白い」という“珍獣”。しかし、ただの珍しいタレントではなく、「ブサイクで背が低い」のに、「トークもダンスもイケてる」。「男扱いされずモテない」のに、「絶対的に明るくめげない」など、ネガティブをポジティブに変換する力が人一倍大きいため、視聴者は元気を与えてもらえるのです。

 もう1つの人気の秘けつは、嫌われにくさ。見た目と話し方はどう見てもオネエなのに「女の子が大好き。早く結婚したい!」と宣言したり、不幸なエピソードを幸せそうに話したりなどの限りなく残念な姿を見て、わざわざ「加藤諒が嫌い」と声を上げる人はいないでしょう。

 ただ、バラエティーに引っ張りダコになるほど、視聴者のイメージが「面白い人」で固定化され、俳優として演じる役柄が狭くなりがちなのも事実。ところが、この春にレギュラー出演していた『とと姉ちゃん』(NHK)、『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)では、見た目と話し方のインパクトを“俳優仕様”に抑えることで、物語に違和感なく溶け込んでいました。

 加藤さん自身、イメージが固定されないように、役柄ごとに髪型を変えるなどの工夫をしていますし、今後は「こんな加藤諒は見たことがない」という演技も見せてくれるのではないでしょうか。

 視聴者の“ながら見”が増えた昨今のテレビ番組は、加藤さんのようなビジュアル優先のキャスティングが加速化しています。実際、今年上半期にブレイクした3組のタレントは、いずれもビジュアルのインパクトをベースに、オリジナルのトークを絡めてチャンスをつかみ取りました。

 加藤さんにとって本当の勝負は、視聴者がそのビジュアルに慣れる2016年下半期。本業が俳優である限り一発屋になることはありませんが、「イジられるばかりではなくイジリ返す」などの意外性を見せられれば、バラエティーの人気者で居続けられるでしょう。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

関連記事

トピックス

結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
阿部慎之助監督(左)が前田健太(時事通信フォト)の獲得に動いているとも
《阿部巨人の「大補強構想」》前田健太、柳裕也、則本昂大、辰己涼介、近本光司らの名前が浮上も、球団OBは「今はそんなブランド力はない」と嘆き節
週刊ポスト
松田烈被告
「テレビ通話をつなげて…」性的暴行を“実行役”に指示した松田烈被告(27)、元交際相手への卑劣すぎる一連の犯行内容「下水の点検を装って侵入」【初公判】
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
《長引く捜査》「ネットドラマでさえ扱いに困る」“マトリガサ入れ報道”米倉涼子はこの先どうなる? 元東京地検公安部長が指摘する「宙ぶらりんがずっと続く可能性」
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン