都民の最大の心配事が地震対策です。たとえば、上杉案として、防災グッズを都内全660万戸に配布するのにかかる予算が、私の試算では530億円で可能。ペットボトルの水や食料、ヘルメットなどのグッズのセットが、毎年、都民全体に行き渡る。さらに老朽化した都営住宅や木造建築の建て直しなども行なうべきです。

 私の考えは、基本的には石原都政の2期目の原点に戻るということなんです。石原さんが掲げた東京都の長期ビジョンの課題をしっかりと継承して、それを実行するということ。たとえば、横田基地の軍民共用化、というのもそうですね。横田飛行場に日本の民間飛行機も発着できるようにする。

 多摩地域の都民にとっては、羽田まで行くよりはるかに便利になり、とくに同地域では都市整備や経済発展が一気に進むでしょう。アメリカにとっても、来年からオスプレイが配備されることで住民からの反対運動が起きることを懸念しているので、政治的な交渉がしやすくなるという理由もあります。石原さんは、当初は横田基地返還を掲げていましたが、途中から軍民共用化にシフトした。それもしっかり引き継ぐということです。

 一方で私だからこそできることもある。石原さんが都知事になったとき、都庁の記者クラブ主催の金曜午後3時の会見は、各社の社会部都庁番以外は原則出られず、雑誌や海外メディアはおろか、情報番組のスタッフですら出席できなかった。そこで、おかしいじゃないかと石原さんと話したところ、火曜日の午後3時に記者クラブメンバー以外も入れる、あの講堂で立ったままやる記者会見のスタイルが生まれたんです。やがて、それが後に金曜の記者会見に統一されることになったのです。

 そういう経緯があるので、私は時代遅れの記者クラブはオープンにして特権を廃止し、都の公的な情報には都民が誰でもアクセスできる「報道センター」を設置し、開放します。都庁の情報は都民の財産なんですから。

※週刊ポスト2016年7月22・29日号

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