『東京消滅』(中公新書)、『地方消滅と東京老化』(ビジネス社)センセーショナルなタイトルがつく、それらの著者こそ、自民党が推薦し、11日に正式出馬を表明した増田寛也氏(64才)だ。東大卒業後、建設省官僚を経て1995年に岩手県知事に就任。12年間務めた後、2007年には総務大臣に抜擢された。
増田氏の政治テーマは「地方創生」。それは「東京一極集中」をやめて、「地方にもっと権限を」というものだ。地方分権や道州制を掲げ、総務大臣時代には「地方交付税特別枠」を実現させた。
「簡単にいうと、東京など税収の多い都府県の税金を地方に回そうというもの。導入以来、約1兆円もの税金が東京から地方に流れました。本来は東京が使えるはずのお金ですよ。そんなことを推し進めた人がどうやって東京都のために働こうっていうのか。東京にとっては“宿敵”ですからね」(都庁関係者)
都知事に就任した暁には、この仕組みをさらに強化するという見方もある。
「自民党都議たちは反発したいところですが、“反発するなら都議会冒頭解散”をチラつかせる小池さんよりはマシ、という判断でしょう」(前出・都庁関係者)
東京から日本を変える――都民だけが損をしない仕組みをぜひ実現してほしい。
都庁が“最も嫌がる”候補者──ジャーナリスト・上杉隆氏(48才)が名乗りをあげた。上杉氏は、故鳩山邦夫氏の議員秘書を務め、鳩山氏が1999年の都知事選に出馬した際には中心となって選挙に携わった。その後、ニューヨーク・タイムズ記者を経てフリーのジャーナリストとなり、記者クラブや官房機密費などのほか、都政取材にも力を入れてきた。
上杉氏の目玉政策は「保育園の無料化」だ。上杉氏が言う。
「税金の無駄遣いを減らせばできることはたくさんある。最も無駄なのは東京五輪です。当初は予算4500億円のコンパクト五輪を目指していたのに、どんどんふくれあがり今や2兆円。削れる部分はかなりある。また、東京から地方に流れる年間約3200億円の税金を都民に取り戻す。この予算があれば、待機児童問題を解決するどころか、保育園の無料化も実現できます。そうした“東京ファースト”が私の政策の根幹です」
この男が都知事になれば、「財源がないから」はもはや言い訳にはできない。
※女性セブン2016年7月28日号