年寄名跡を取得すれば、引退後も日本相撲協会に残り、親方として後進の指導にあたることができる。だが、現在、取得資格者は「日本国籍」を有する者に限られている。
王貞治監督は、2006年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、代表監督として日本を世界一に導いた(※王監督は台湾国籍)。日本国籍を有してなくても、帰化しなくても日本を代表する指導者になれる。私も王監督のようになるには、結果で認めてもらうしかありません。
もちろん野球と相撲とでは世界が違うことも理解しています。相撲は伝統文化の世界ですから、変えてはいけないものもたくさんある。ただ、変えなければならないものは、少しずつでも変えていく必要があると思っています。
これだけ多くの外国人力士が日本にやってきて、相撲界を牽引しているという事実があります。
今の相撲界の制度では、外国人力士は入門はできるが、その後、(親方などとして相撲協会に)残ることが難しい。また、外国人力士は原則、1部屋につき1人しか所属できないので、日本以外の国籍を持つ若者が「力士になりたい」と希望しても、誰かが引退しない限り、入門できないという実態もあるんです。
今後、規制が緩和されたり、整備されることがあれば、すべての力士たちが、「俺たちは相撲でメシを食っていくんだ!」と思えるし、そうなれば、もっと勝負が熱くなるはずです。
そういうことが、広い意味での「土俵の充実」につながるんじゃないかと、私は思っているのです。
●撮影/ヤナガワゴーッ!
※週刊ポスト2016年7月22・29日号