要は、ネットを見ている限り、鳥越俊太郎候補は思想信条を超えて「ありえない」という印象なのだ。私も、ロクな政策もなくて立候補したことが解せないし、認知症とは言わないが、言動の頼りなさに「老い」を感じる。実は、がんサバイバーを応援したい気持ちや、この時期に革新系都知事が何を為せるのか見てみたいという思いがあるのだけれど、「いや、待て、それ以前の問題だ」とネットの反応に同感するところが多いのである。
ところが、だ。テレビをつけると、空気が違う。流れの向きが逆だった。
公職選挙法で放送内容が縛られているせいか、弱腰の業界体質だからか、14日の告示以降のテレビはこれといった何かを発信していないようだ。ただ、鳥越氏が出馬表明した12日から翌13日までは、歓迎ムードで確かに盛り上がっていた。
例えば、だ。ライブドアニュースが13日早朝に、〈鳥越俊太郎氏の東京都知事選出馬会見を安藤アナや田崎史郎氏らが大絶賛〉と題する記事をアップした。その中に、12日放送の『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系、13時45分~)での様子を伝えるこんな記述がある。
〈高橋克実は「僕はものスゴく良い会見だったと思いますけれど」「お人柄もスゴく出てたし、話に引き込まれますね。とても聞きやすかったです」と、出馬会見を評価した〉
〈サバンナの高橋茂雄は、会見の序盤に、出馬を断念した元経済産業省官僚の古賀茂明氏が応援に駆けつける段取りについて「普通に考えたら、絶対(事前に)決まってるやん!」とツッコミを入れつつも「パフォーマーとしておもしろい方」「記者会見としておもしろく見れた」と高評価した〉
〈安藤アナは、鳥越氏が東京オリンピックの予算や、都の出生率などについて案について(※記事のママ)、把握していなかった場面を振り返り「知らないことを『知りません』って、言えちゃうところも結構スゴいですね?」と感心した〉
テレビで食べている有名人たちが、鳥越氏の登場を評価していたのである。ネットの人々が呆れ、驚いた記者会見の内容も、肯定的に楽しんでいる。
13日の9時半頃にスポーツ報知は、13日放送の『白熱ライブ ビビット』(TBS系、8時~)での様子をこう伝えた。
〈テリー(伊藤)氏は番組中に「コメンテーターとして特別な人。軸が乱れていない。自分の勉強していないことは勉強していないと正直に言えることにすごさを感じる」とコメント〉
〈(オリラジ)中田も「好感が持てる。準備がない、気持ちで出たというのが全部伝わってくる」とうなずき、「一番都民が求めている“気持ち”がある人。用意周到に準備をして完璧な会見を開いてできる人だなと思うよりは、みんなのために急きょ立ち上がったんだというほうが好感が持てる」と持論を述べた〉
2人ともネットの反応と正反対。まるで鳥越支持者の感想のお手本みたいだ。