「将来の夢は半年に1回書いています。4月と10月です。子供たちはいろんなことを考えていますから、半年でも夢はどんどん変わっていくんです。そして高学年になれば、“なぜ自分はその職業に就きたいのか”“そのためにはどうすればいいのか”などと考えるようになります。この村の子供たちは、そのことを考える力を持っているんです。その秘密は、授業などを見てもらえばわかります」
そう言って案内してくれたのが2年生の体育の授業。この日のテーマは「水あそび」だった。プールの中にフラフープを入れ、その中を潜り抜けていく子供たち。授業終了の約10分前に2年生32人全員がプールサイドに上がり体育座りを始めた。
「では、“ふり返り”をやります」
先生はそう言って、「潜る時に気づいたことはありますか?」と児童に聞いた。
次々に手が挙がるなか、先生から指名された児童は立ち上がって、「最初はちょっと難しかったけど、息を止めると潜ることができました」と発表した。
「息を止めるといいんですか? そうした人はいますか?」
そう先生が質問を続ける。児童は手を挙げ、指名された児童は「息を止めると潜ることができたけど、あとは体の力を抜くと浮くことができました」とはきはき答えた。すると先生は「体の力を抜くといいんですって。そうした人いますか?」と質問を続ける。するとまた何人か手を挙げた。
「あまりうまくできなかった人はいますか?」
そんな質問にも、児童は何人か手を挙げた。
続いて3年生の国語の授業を見学。テーマは「本を使って調べよう」。黒板には赤い枠で囲まれた“かだい”の下に「『里山は未来の風景』を読んでもっと知りたいと思ったことを調べましょう」と記されている。
3年生12人全員の名前が黒板に書かれ、その下に児童たちがそれぞれ、どの本を使って調べるか考え、発表した内容が書かれている。