村上:私が筆坂先生を応援弁士に推薦したんだけどね。山口さんが「俺の応援でなくてもいいから、好きにしゃべってくれ」って言うんだもん。最後は山口さんも小池の応援してたよ(笑い)。だけど、森をやめさせろという一点突破で、結局、内輪の話なんだよな。
平野:それが都知事選のテーマかどうかという議論はあったけど、アピールの仕方としてはよかったんじゃないですか。
村上:うん。五輪にしても、豆腐じゃないけど、何兆(丁)もかかって、そういう話を持ち出すのはいつも森なんだから。スポーツに政治が絡むと汚くなるから、人を慎重に選ぶべきなのに、もっともふさわしくない人間を組織委員会の会長にしてしまっている。
筆坂:私も山口さんに基本的に賛成だね。なんで、すでに成熟しきった東京で五輪をやる必要があるんだと。五輪って一大利権なんですよね。
村上:全部金なんだよ、五輪にまつわる金。なんで森を辞めさせられないのかというと、安倍政権だからだよ。
筆坂:それはそうだね。安倍政権でなければ、とっくにクビになっているはず。本来なら彼自身が身を引くべきなのに、辞めない。
平野:森政権をつくったところから自民党はおかしくなって、日本の議会制民主主義が揺らぎ始めた。この話をすると、ちょっと耳が痛い人がいるかもわからんけど(と言って村上氏に視線を向ける)。
村上:う~ん(苦笑)。あのときは、キャリアからいって森が一番と、誰しも思ったわけですよ(※注)。私はそれを代弁しただけで。ところが、その後の森の身の処し方が下世話なんだよ。
【※注/2000年に小渕恵三・首相が倒れた際、森喜朗氏、青木幹雄氏、野中広務氏、亀井静香氏、村上氏の「五人組」による密室会談で森氏を後継首相に決めた経緯のこと】
●村上正邦/1932年生まれ。自民党。参議院4期。労働大臣、参議院自民党幹事長、自民党参議院議員会長などを歴任。
●筆坂秀世/1948年生まれ。日本共産党。参議院2期。政策委員長、書記局長代行、中央委員会常任幹部会委員を歴任。
●平野貞夫/1935年生まれ。参議院2期。自民党、新生党、新進党、自由党、民主党などに所属。元自由党副幹事長。
※週刊ポスト2016年9月2日号