ある日、35才の白羽という男性がアルバイトに入りました。彼はコンビニの仕事をバカにしており、まったくやる気がありません。度重なる遅刻やサボリに加え、女性客にストーカー行為まで働く始末で、やがてクビになってしまいました。
数日後、恵子は店の近くで女性客を待ち伏せしている白羽を見つけました。仕事もなく、家賃を滞納していると聞き、彼を家に連れていきます。白羽は自分のことを棚に上げて、結婚も就職もしていない恵子の生き方を「意味不明」だと攻撃。「僕さえここにいれば世間は納得しますよ」と言われ、ふたりのカタチだけの同棲が始まりました。
ふたりの間には肉体関係も恋愛感情もありません。白羽は何もせずに毎日ゴロゴロしているだけ。恵子はそんな彼に食事を与え続けます。やがて恵子と白羽が同棲していることが職場にバレてしまいました。店長はじめ、誰もがふたりの関係に興味津々で、顔を合わせるたびに白羽のことを聞いてきます。
ふたりで生活するんだからアルバイトではダメだという白羽の意見に従い、ついに恵子は18年勤めたコンビニのアルバイトを辞めました。就活を始め、スーツを着て面接に出かけた恵子。しかし最後に、思わぬどんでん返しが──。
みんなと違うことをすると奇異な目で見られる日本は、とても同調圧力の強い国です。恵子は確かに“普通”ではありませんが、では私たちは“普通”なのでしょうか? コンビニで働いているときだけ明るくふるまえる恵子を見て、ドキッとする人も少なくないことと思います。
※女性セブン2016年9月15日号