ビジネス

世界で一番高額米開発の東洋ライス 過去に「無石米」生む

「世界最高米」を販売する東洋ライス社長の雜賀慶二さん

 ギネス世界記録公式認定証授与式で、「おいしくて体にいい米ができました。私たちは日本の水田を守り、米の生産農家に元気になってもらうために、世界最高米を展開していきたい」と、抱負を語った東洋ライス社長の雜賀慶二さん。

 和歌山弁交じりに語る飾らない言葉からはお米に関する情熱が溢れ、もっと話を聞きたいと思わずにはいられなかった。

「私はね、お米の気持ちがわかるんです。お米と会話ができるというんですかね」

 雜賀さんはこう語り出した。お米の言葉がわかる…? 記者の怪訝な表情を見た雜賀さんは、かすかな関西弁を交えて、いっそう穏やかに言葉を足していく。

「若い頃からずっとお米にかかわる仕事をしてますんで、お米の気持ちになって考えることができる。それだけ私は原始人なんですな(笑い)」(雜賀さん、以下「」内同)

 私たち日本人の食卓に身近なお米。ブランドや価格は意識するものの、いつも当たり前に食べている。このお米をいかに健康によく、おいしく、消費者に届けるかを日々研究し、さまざまな新発見や新アイディアを提供しているのが、雜賀さん率いる東洋ライスだ。

 例えば今年7月、同社が発売した「世界最高米」が文字通りギネス世界記録「世界で最も高額なお米」に認定された。なんと1kgで1万1304円。スーパーなどで売られているお米は5kgで1700円前後。いかに高いかおわかりいただけるだろう。

 高額な理由は、お米の「第17回 米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」に出品されたお米の中から、最高位の金賞を受賞したお米を厳選。そこから生命力に優れた米粒のみを選別し、現在考えられる最高の技術でブレンドおよび精米して世に送り出されたからだ。

 といって、高額というだけで話題になればいいという考えはない。

「お米の生産者が精魂傾けて育てたお米を、いかにおいしく食卓に届けるか。そのために私の会社が持っている熟成、精米、ブレンド、無洗米といったすべての技術を注いで、お米の食味と生命力を高める努力がどこまでできるかなんです」

 これは、記録に挑戦しないではいられない五輪のようなもの、と語る。雜賀さんは、和歌山市で精米機の販売を手がける家に生まれた。

「私が物心ついた頃は終戦直後で、親父は、精米機の修理を仕事にしていました。顔見知りの米屋さんから、“精米機が動かない”と言われて出かけて行くんです」

 精米機に囲まれて育った雜賀さんは、中学を終えると家業を継ぎ、やがて「機械の言葉がわかる」ようになっていく。

「さっきも言ったように、私は文明人やないから、なんでも体で覚えてきたので、お米も機械もじっと見ていると、言いたいことがわかるんです(笑い)」

 この感性は今でも衰えることなく、研ぎすまされたままだ。

「若い社員に“社長、なんでこの機械動かないんでしょう”って聞かれると、私は言うんですよ。“人間の言葉で言うてないだけで、どこが変だって言うてるよ”って」

 機械の言いたいことがわかるようになった雜賀さんは、やがて、機械のトラブルを解消するのは当たり前。それをいかに早く、短時間で修理するかに挑戦し、技術を磨き、向上をはかった。そして、26才の時、得意先の米屋で、忘れられない光景に出くわす。

関連キーワード

関連記事

トピックス

隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
『1億2千万人アンケート タミ様のお告げ』(TBS系)では関東特集が放送される(番組公式HPより)
《「もう“関東”に行ったのか…」の声も》バラエティの「関東特集」は番組打ち切りの“危険なサイン”? 「延命措置に過ぎない」とも言われる企画が作られる理由
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン