まず気になるのは留年率60%オーバーの3つの大学・学部だが、それについてはひとまず置いておく。目線を〔40%オーバー〕と〔30%オーバー〕のほうに移していただきたい。学部(学科)名で、目立つ漢字が拾えると思う。
そう、「薬」「歯」「医」である。一般的には医歯薬系と括られる学部(学科)で高留年率のところが多いのである。特に、私立の薬学部、歯学部が目立つ。医学部についてもそうなのだが、その理由は、そこに入ったからには絶対に受からなきゃならない国家試験があるから。
医歯薬系の学部(学科)の多くは、入学直後から頻繁に試験などを行い、一定レベルを超えられない学生をどんどん落としていく。そうやって国試を突破できるだけの学力を身につけさせるし、身につかなければ留年させてでも繰り返し勉強させる。その結果、退学者もけっこうな率で出しているのだが、それより大学は国試合格率を気にする。
患者の命に関わる仕事に就こうという学生たちなのだから、そのくらい厳しくやってくれて助かる、と患者側の我々は思うが、当人やその保護者は大変だ。医歯薬系大学にたまたま合格したはいいが、やっぱり学力不足で入学してからついていけない……のは自業自得といえるけれど、その学問や職業が実は合わなかったというミスマッチの場合、ちょっと悲劇だ。
18歳かそこらで職業適性を見極めるのは難しい。が、医歯薬系は高校生段階でそれを決めなければならず、どうしたって「ミス」が出る。それに本人が気づき、早いうちに他学部・他学科へ編入するなど、進路の変更ができればいいが、下手に頑張って留年が重なると、精神的にきついし、ただでさえ高い学費がドンドンかさんで保護者も大変だ(ただし、大学によっては留年者の学費を安価にするなどもしている)。そのへんの現実を、大学受験前に受験生と保護者はしっかり知っておく必要がある。