前回も書いたように、「輪作」を畑作様式とする十勝では、前に植えた作物を収穫・回収しなければ次の作物が植えられない。台風でぬかるんだ畑に大型機械が入れないダメージが、次の作物にもダメージを与えてしまう。
交通インフラも徐々に復旧しつつあるものの、43.5kmに渡り、計19か所で橋や道路が崩落した国道274号の日勝峠付近など、いまも復旧の見通しが立たないところもある。国内の農作物の一大産地、十勝にも支援は必要だ。
以前、熊本地震が起きた当初、本稿で「呑む、行く、買う」を個人支援の柱にしようと書いたが、現在の十勝は「行く、食べる、納める」がいいと思う。9月中旬に十勝を訪れたとき、別チームは札幌から車でスムーズに入ることができたし、「美肌の湯」で知られるモール温泉つきのホテルも多い。
そしてあらためて言うまでもなく、十勝は食の宝庫である。1泊2日で十勝エリア(帯広市内、音更町、芽室町、新得町、清水町、中札内村、更別村、大樹町など)の各所で口にしたものを備忘録的に挙げておくので、訪れたとき(や通販で)のガイドとしてご活用いただきたい。
十勝産小麦100%の満寿屋商店(11月に都立大に東京1号店を出店予定)の旗艦業態「麦音」の石窯焼きの「マルゲリータ」、「あんぱん」、「とろ~りチーズ」。ホテルヌプカの「旅のはじまりのビール」、大樹町ホエー豚のローストポーク、さやあかねのディル入りポテトサラダ、天然酵母パン、黄ズッキーニと有機野菜のサラダ。帯広ビールの「クロウト」「フランボワーズ」「なまらクロウト」。
十勝清水コスモスファームのブラウンスイス牛の無塩せきコンビーフ。ウエモンズハートでジェラート、ソフトクリーム、牛乳。インデアン(道東のローカルカレーチェーン)のハンバーグカレー。農家バルFOODBABYで更別村松橋牛のステーキなど7品のコース。北の屋台(屋台村)にある「琥羊(こひつじ)」の生ラムのたたき、「煙陣(えんじん)」のスモークオイスターなど数店で数皿。そこから流れた歓楽街の店でハイボール数杯。気づけばすっかり未明で、ここまでが1日め。
2日めは、サッポロ黒ラベル(北海道限定版)と早朝から営業している「YUI」のカレーうどんからスタート。午前は十勝の畑のガイドツアー事業を行う、いただきますカンパニーの案内で、もぎたてトウモロコシと獲れたて枝豆をゆがいたやつ。それからジンギスカン白樺のラム、マトン、白飯、みそ汁、キムチ、生ビール。湖水地方牧場の水牛のモッツァレラチーズ、ブラウンスイスのリコッタ。というところで帰りの便でタイムアップ。
こんなふうに行って食べるだけでも、きっと何かの役に立てるはずだ。
行くのが難しければ、各市町村のふるさと納税を活用した支援もある。生産者も「台風の後、返礼品なしの支援も目立ちますが、返礼品で十勝の産品を知っていただくのもありがたいことなんです」(十勝清水コスモスファーム・安藤智孝さん)と言う。