【ヒロインvsいじめっ娘役・悦子様】
坂野惇子は幼少時代、現在の神戸市東灘区、“日本一の長者村”と呼ばれた界隈に住む富豪・佐々木八十八の娘として生まれ、なに不自由なく育った。父・八十八の過保護ぶりは際立っており、キャラメルを与えるにもアルコール消毒をしてからだった。
小学校時代、遠足にお手伝いさんがつき添う惇子を同級生たちは陰で“別荘の子”と呼んだ。
「イジメに耐えるヒロイン、といった部分がどこまで描かれるか楽しみです。女学校時代には“悦子様”と呼ばれるキャラクターが登場するとNHKは発表していますが、イジメ絡みのキーパーソンになってくるのではないかと期待しています」(漫画家で朝ドラウォッチャーのカトリーヌあやこ氏)
【ヒロインの「役名の秘密」】
戦争で夫婦の危機も経験するが、それを乗り越えるロマンスが役名「すみれ」の元になった。
『坂野惇子 子ども服にこめた「愛」と「希望」』の著書もある青山誠氏が語る。
「史実では、結婚後間もなく坂野の夫は戦争でジャワ島に赴任しますが、夫は復員前の手紙に〈すみれの花が咲くころ帰れそうだ〉と書きます。そして引揚船の名も『すみれ丸』。役名のすみれはこの史実からとったのでしょう」
※週刊ポスト2016年10月7日号