ライフ

人生で失神を経験する人は約4割 専門医の診察で原因特定を

 朝礼で長時間立っていたら倒れた、満員電車の車内で気を失った、いきなり道端で倒れケガをしたなど、失神を経験する人は意外と多い。失神は一時的に脳の血流が低下するために、酸素が不足することで起こる症候だが、人生において失神を1回以上経験する人は、約4割と推計されている。それなのに、失神を経験した人が多いわりには何科を受診したらいいのかわからず、患者の中には脳外科や内科を受診して断わられるケースもあった。

 聖マリアンナ医科大学病院の循環器内科失神外来担当の古川俊行講師に話を聞いた。

「イタリアでは、25年ほど前に、失神を専門とする医師が在籍する失神専門診療ユニット(Syncope Unit:SU)が創設されました。失神の誤診率が高いため、専門外来での診察で不要な入院や過剰検査による医療費高騰を抑制するのが目的でした。私はそこで学び、帰国後2012年に大学病院として初めて循環器内科に、失神外来を開設したのです」

 失神の原因は、自律神経を介した神経反射性失神のほか、高血圧や糖尿病など生活習慣病から起因するものや、心臓疾患など様々だ。失神外来では原因特定のため、問診、心電図、血液検査、起立時血圧という基本的検査に加え、ほぼ全員に24時間首からぶら下げるホルター心電図と心エコーを実施している。

 失神原因で一番多いのが、血管迷走神経反射だ。脳から直接、末梢に伸びる脳神経系は全部で12組ある。そのうち、首肩下まで伸びるのは第10脳神経と呼ばれる迷走神経と、それに合流する11番目の副神経だ。これがうまく機能せず、一時的に脳に酸素が届かない。この失神は長時間の起立や満員電車など、何かきっかけがあり、失神前に気分が悪い、冷や汗が出るなどの典型的な症状が起きる。

関連キーワード

トピックス

タイ警察の取り調べを受ける日本人詐欺グループの男ら。2019年4月。この頃は日本への特殊詐欺海外拠点に関する報道は多かった(時事通信フォト)
海外の詐欺拠点で性的労働を強いられる日本人女性が多数存在か 詐欺グループの幹部逮捕で裏切りや報復などのトラブル続発し情報流出も
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《虫のようなものがチャーシューの上を…動画投稿で物議》人気ラーメンチェーン店「来来亭」で異物混入疑惑が浮上【事実確認への同社回答】
NEWSポストセブン
6月9日付けで「研音」所属となった俳優・宮野真守(41)。突然の発表はファンにとっても青天の霹靂だった(時事通信フォトより)
《電撃退団の舞台裏》「2029年までスケジュールが埋まっていた」声優・宮野真守が「研音」へ“スピード移籍”した背景と、研音俳優・福士蒼汰との“ただならぬ関係”
NEWSポストセブン
小室夫妻に立ちはだかる壁(時事通信フォト)
《眞子さん第一子出産》年収4000万円の小室圭さんも“カツカツ”に? NYで待ち受ける“高額子育てコスト”「保育施設の年間平均料金は約680万円」
週刊ポスト
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《追悼・長嶋茂雄さん》王貞治氏・金田正一氏との「ONK座談会」を再録 金田氏と対戦したプロデビュー戦を振り返る「本当は5打席5三振なんです」
週刊ポスト
打撃が絶好調すぎる大谷翔平(時事通信フォト)
大谷翔平“打撃が絶好調すぎ”で浮上する「二刀流どうするか問題」 投手復活による打撃への影響に懸念“二刀流&ホームラン王”達成には7月半ばまでの活躍が重要
週刊ポスト
懸命のリハビリを続けていた長嶋茂雄さん(撮影/太田真三)
長嶋茂雄さんが病に倒れるたびに関係が変わった「長嶋家」の長き闘い 喪主を務めた次女・三奈さんは献身的な看護を続けてきた
週刊ポスト
6月9日、ご成婚記念日を迎えた天皇陛下と雅子さま(JMPA)
【6月9日はご成婚記念日】天皇陛下と雅子さま「32年の変わらぬ愛」公務でもプライベートでも“隣同士”、おふたりの軌跡を振り返る
女性セブン
(インスタグラムより)
「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画…直後に入院した海外の20代女性インフルエンサー、莫大な収入と引き換えに不調を抱えながらも新たなチャレンジに意欲
NEWSポストセブン
中国・エリート医師の乱倫行為は世界中のメディアが驚愕した(HPより、右の写真は現在削除済み)
《“度を超えた不倫”で中国共産党除名》同棲、妊娠、中絶…超エリート医師の妻が暴露した乱倫行為「感情がコントロールできず、麻酔をかけた患者を40分放置」
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト