芸能

賛否両論渦巻いた『とと姉ちゃん』 広告掲載への疑問

『とと姉ちゃん』の視聴率は好調だった

 最後まで賛否両論渦巻いた、珍しいタイプの朝ドラだったといえるかもしれない。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 本日終了したNHK朝ドラ『とと姉ちゃん』。視聴率20%超を持続するなど、数字を見れば広く人気を得たもよう。しかし一方で、違和感を訴える視聴者が特に中高年層に多く存在したドラマでもありました。「違和感」について一例をあげると…。

 80代の女性は言います。

「日本人は顔を至近距離で凝視したりしないもの。この主人公はじいっと目を大きく見開いてまばたきもしないでしょ、何だか怖いわ。ミュージカル出身だからかしら? あんな風な目つきになるのは」

 たしかに。主人公・常子を演じた高畑充希さんはミュージカル好きで有名。『ピーターパン』で人気を博して今の地位まで登りつめた女優さんです。

 たかが視線? されど視線。

 人をじいっと見るのは失礼にあたる、というのは日本の文化的慣習。視線の使い方に文化的な特徴があることは、東大の研究でも明らかになっています。

「日本人は欧米人(フィンランド)に比べ正面向きの顔をより「近づきがたい」「怒っている」と感じることが明らかになりました」(「日本人はアイコンタクトをとられると「近づきがたい」と感じる 2013年3月東京大学大学院総合文化研究科)

 主役のガン見はクセなのかも。しかし昭和を舞台に半年も続く、アップの多いテレビドラマにはフィットしない。

「主人公は表情がなく、目をぎろっと剥くだけ」「睨んでいるみたい」など目つき、視線について不快感を表す反応がしばしば。役者だけでなく演出側の問題もあるのかもしません。

 と、「視線」は一例。「暮らしを大事にする」と強調するわりに、アイロンを幼い子の近くに放置したり、社内で「とと姉ちゃん」と呼び続ける不自然さも最後まで。「ほぼほぼ」「じぃじ」などの今様言葉遣いもおかしい。

 日本人の生活文化・習慣をハズしている、礼儀が足りない、ありえない、といった批判的な感想も度々見うけられました。

「脚本」もまた、物議を醸しました。

 批判の目立つ朝ドラはこれまでにもあったけれど、身近な人から“異議”の声が噴出した作品は前代未聞。ドラマのモチーフは、『暮らしの手帖』の創設者・大橋鎭子と編集長・花森安治。しかし途中から「ドラマはフィクションです。登場する団体や商品は実在のものではありません」という表示が入るようになった。出版指導として名を連ねていた『暮らしの手帖』元編集部員の小榑(こぐれ)雅章氏の名前も、画面から消えました。

 ご本人の希望だそうです。花森編集長の戦争に対する思いについて単純化しようとしたり、商品テストで事実と違う描き方など、ドラマの内容に責任が持てなくなった事が理由のようでした。(週刊朝日2016年9月23日号)

 もちろん現実の話をモチーフにしていると言っても、ドラマですから脚色されたりエピソードが加わったすることはありうる。しかし、根幹の部分で白が黒になったり、最も大切な信念を簡単に曲げるような話はありえない。大切なポイントを逸脱してしまった、ということでしょう。

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン