ビジネス

高級ハーモニカ 子供の呼吸器の発達や高齢者の体力維持にも

「Showa複音ハーモニカ21Special」(5400円)

 どこか郷愁を感じる音色が魅力のハーモニカ。戦後間もなく大ブームとなり、大量生産されるようになった。

 音楽の街・静岡県浜松市で1947年より手作りハーモニカを作り続けている「昭和楽器製造」2代目社長の酢山義則さんは、以下のように当時を振り返る。

「創業当初は材料不足に悩みましたが、ハーモニカ奏者の巨匠・宮田東峰先生が監修したハーモニカ“スペシャルミヤタ”が爆発的にヒットしたり、小学校の音楽教材にハーモニカが採用されるなど、まさに黄金時代でしたね」

 しかし、1960年代後半には鍵盤ハーモニカが登場。一気に人気は衰退していく。

「やめようかと悩んだ時期もありましたが、妻から『あんたがやらなかったら誰がやるの』と言われ、一念発起。創業当初に人気だった“スペシャルミヤタ”をもとに、誰でも扱いやすく吹きやすい、複音ハーモニカを開発しようと思ったんです」(酢山さん、以下「」内同)

 当時、ハーモニカは木製が主流だったが、湿気や乾燥などで膨張・収縮し、口に当てる部分が割れるなど、手入れが必要で、作る際にも手間と時間がかかっていた。そこでプラスチック素材への転換を決め、試行錯誤を重ね、創立50周年の1997年に、「複音ハーモニカ21スペシャル」(5400円)を発売。

 複音ハーモニカの吹き口は、上下2段。例えば上下で同じ“ド”でも、若干異なる周波数で調律され、同時に鳴らすとビブラートがかかって音がうなるようになっている。音を美しく響かせるには、職人による微妙な調整が必要だ。

 ハーモニカの旋律は、真鍮の薄い板に取り付けられた数mm幅のリード(弁のこと)に、下から風を送って振動させて音を確認し、少しずつ削りながら調律する。低音リードは、振動しやすいよう微調整し、組み立てる。その後、実際に2~3回吹いて確認した後、消毒して完成だ。

「ハーモニカは、吸っても吹いても音を出せる希有な楽器。腹式呼吸ができるため、子供の呼吸器の発達や音感の育成にいい影響を与えるだけでなく、高齢者の体力維持やリハビリにも使われています」

 家族での合奏もおすすめだ。

※女性セブン2016年10月13日号

関連キーワード

トピックス

『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
混み合う通勤通学電車(イメージ)
《“前リュック論争”だけじゃない》ラッシュの電車内で本当に迷惑な人たち 扉付近で動かない「狛犬ポジション」、「肩や肘にかけたままのトートバッグ」
NEWSポストセブン
日本のエースとして君臨した“マエケン”こと前田健太投手(本人のインスタグラムより)
《途絶えたSNS更新》前田健太投手、元女子アナ妻が緊急渡米の目的「カラオケやラーメン…日本での生活を満喫」から一転 32枚の大量写真に込められた意味
NEWSポストセブン
リフォームが本当に必要なのか戸惑っているうちに話を進めてはいけない(イメージ)
《急増》「見た目は好青年」のケースも リフォーム詐欺業者の悪質な手口と被害に遭わないための意外な撃退法 
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
妻とは2015年に結婚した国分太一
《セクハラに該当する行為》TOKIO・国分太一、元テレビ局員の年下妻への“裏切り”「調子に乗るなと言ってくれる」存在
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン
歴史学者の河西秀哉氏
【「愛子天皇」の誕生を希望】歴史学者・河西秀哉氏「悠仁さまに代替わりしてから議論しては手遅れだ」 皇位継承の安定を図るには“シンプルな制度”が必要
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「給料もらっているんだからさ〜」国分太一、若手スタッフが気遣った“良かれと思って”発言 副社長としては「即レス・フッ軽」で業界関係者から高評価
NEWSポストセブン
ブラジル訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《クッキーにケーキ、ゼリー菓子を…》佳子さま、ブラジル国内線のエコノミー席に居合わせた乗客が明かした機内での様子
NEWSポストセブン