だが、その思い出の生家は荒廃し、近所の“やっかい物”と化してしまった。臼井町の町内会長はいう。
「強制撤去という話にまではなっていませんが、近隣住民から苦情が来ているのは事実。所有者である長嶋さんの甥の連絡先もわからないため話し合いもできない。市に環境改善を求める相談をしようかと考えているところです」
生家の所有者である甥の元を訪ねたが、記者の質問に表情を曇らせ、口を真一文字に結び、何も答えることはなかった。
一方の長嶋氏の事務所は「所有者ではないので、お答えする立場にありません」とのこと。
長嶋氏が2013年に国民栄誉賞を受賞すると、千葉県も「県民栄誉賞」を与え、佐倉市は市営岩名野球場を『長嶋茂雄記念岩名球場』と改称。翌2014年以降、毎年この球場で「長嶋茂雄少年野球教室」を開催し、長嶋自ら少年少女に身振り手振りを交えての熱血指導をしている。この教室は今年も11月13日に開催される予定だが、この日、長嶋氏が会場からほど近い生家に足を運ぶことはあるのだろうか。
ミスターの胸中はいかに──。
※週刊ポスト2016年10月28日号