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作家・久田恵「日々が大変だとささやかな幸せを感じやすい」

 ここ30年で子供のいない世帯が2倍以上に増加している。「経済的に大変」「親になる自信がない」などの理由で子供はいらないという夫婦がいるが、果たして子育てはそんなに大変なものなのだろうか。『新・家族がいてもいなくても』(扶桑社)など、介護などに関する著作も多いノンフィクション作家・久田恵さん(69才)が、自身の子育て体験を語る。

 * * *
 30才で息子を出産し、その3年後に離婚。それ以来、必死で働く一方で、学校のPTAから少年野球の当番まで、次々と“親の仕事”が振りかかってきました。シングルマザーだと部屋を借りられず慌てたり、子供が保育園へ行きしぶるので、仕方なく子連れでサーカスの住み込みとして働いたこともありましたね(笑い)。

 でも子育てが大変とは思わなかった。子を持つということはこういうものだと思っていたし、何より大変だったのが、息子が8才の頃から始まった母親の介護でしたから。

 介護が大変すぎて子育ての苦労は感じないほどでした。息子が不登校になった時も、大したことないと思えるほど強くなっていました。

 最近は、持たない人が持つ人を幸せに思う傾向がありますが、ふたを開けてみれば全然違うこともあります。もし私に夫がいたら、もっとうまくやれたような気でいるんですよ。でも、夫がいる人に聞くと「最悪」と嘆く。息子がまだ幼い頃はお金がなかったので、たまにチョコレートパフェを食べさせるだけで感謝されました。案外、そういう他愛のない瞬間が幸せの正体じゃないかと、年を重ねるにつれて思うようになりました。子がいようがいまいが、日々大変な方が、日常のささやかな幸せを感じやすいと思いますよ。

※女性セブン2016年10月27日号

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