スポーツ

元ラグビー日本代表平尾誠二さん 晩年の奮起

 ノーサイドの瞬間まで、彼らしさを貫いた。ラグビー日本代表で主将、監督を務めた平尾誠二さんが53才の若さで他界した。

「五郎丸(歩)の活躍で日本代表が歴史的快進撃をした昨秋のW杯では、現地イングランドに行ってテレビ解説をする予定でした。それを直前にキャンセルして、東京のスタジオでの出演になったのですが、それでもしんどそうだった。本人は周囲に“胃潰瘍の手術後に体質改善のために食事制限をしたら、ちょっと痩せすぎちゃって”“みんな、病気だ病気だなんていうからひどいよな”と笑いながら話していましたが…」(ラグビー関係者)

 最後に公の場に出たのは今年4月の大阪市内での講演だった。別人のように痩せた姿に、関係者は騒然となった。

「それでも、誰ひとりとして“病気ですか”なんて聞けません。平尾さんが人前で弱音を吐くわけがありませんから。周囲はわかった上で、何も言わず黙っていました」(スポーツ紙記者)

 1963年、京都市生まれ。伏見工高3年時の全国制覇はドラマ『スクール☆ウォーズ』(1984年~)のモデルになった。同志社大学で3連覇、社会人では神戸製鋼で7連覇を達成。日本代表に史上最年少の19才4か月で選ばれ、1997年にはやはり史上最年少の34才で代表監督に就任するなど、まさに「ミスター・ラグビー」と呼ばれるにふさわしい存在だった。

「ポジションは“司令塔”のスタンドオフ。切れ味鋭い華麗なステップワークと視野の広いパス、抜群のキック力、さらに卓越した理論を持ち、誰もが認める天才。端正なマスクで女性からの人気もずば抜けていた」(前出・ラグビー関係者)

 1988年に同い年の恵子さんと結婚。恵子夫人は元女優で、賀来千香子とは『JJ』のモデル時代の友人。よく平尾の試合を2人で観戦していた。

「ちょうど昨秋のW杯の頃、平尾さんは胃の手術を受け、“余命3か月”と宣告されたそうです。さまざまな治療に挑戦しても体調は戻らず、“もうええか”と弱気になったこともありましたが、恵子夫人の“私たち家族のために生きて”という言葉を受け、奮起して病魔と闘ってきた。

 今年のゴールデンウイークに家族旅行に出かけましたが、実は平尾さんが家族と旅行するのは初めて。現役時代から一年中ラグビーで時間もなかったし、合宿や遠征の繰り返しでしたから」(別のラグビー関係者)

 余命3か月と言われてから、1年以上も闘い抜いた。本人と遺族の希望で病名も死因も一切公表されておらず、葬儀も近親者のみの家族葬で営まれた。

「死因も膵臓がんとか、胆管がんとか、がん以外の難病だったとか、さまざまなことが言われていますが、実際には家族以外は誰も知りません」(前出・別のラグビー関係者)

 孤高の存在だった平尾さんらしい、逝き方だった。

※女性セブン2016年11月10日号

トピックス

本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
2021年ドラ1右腕・森木大智
《悔しいし、情けないし…》高卒4年目で戦力外通告の元阪神ドラ1右腕 育成降格でかけられた「藤川球児監督からの言葉」とは
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
この笑顔はいつまで続くのか(左から吉村洋文氏、高市早苗・首相、藤田文武氏)
自民・維新連立の時限爆弾となる「橋下徹氏の鶴の一声」 高市首相とは過去に確執、維新党内では「橋下氏の影響下から独立すべき」との意見も
週刊ポスト
新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン