そうこうしているうちに40代に突入。さらに焦って、別の結婚相談所に入りました。大学の友人はほぼ職場結婚しているのに、私はこんなにお金をつぎ込んでも結婚できないのか……と、かなりきつかった。普通の出会いはないのかって? ないんです! 会計事務所の同年代はみな既婚者だし、若い人は私なんて、眼中にないでしょうからね。

 それでも茶道を頑張っていたら、42歳の時、先生のお知り合いの方が、私と同い年の独身を紹介してくださったんです。喜んで飛びついて、付き合いました。ようやく春が来たと盛り上がって、家族にも話して。相手は、いかにも理系タイプの、無口な大人しい方。だから今まで独身だったんだと本人は言いましが、地味な私には合っていると思いました。メーカー勤務で年収は1000万以上。私にはもったいないくらいでした。

 ところが、付き合って3か月くらいしたとき、「子供は欲しくないんだ、お金と時間は自分に使いたいから。だから42歳のキミでも僕はOKだったんだよ」って言われて、目の前が真っ暗になったんです。自分の価値観を否定されたような気がして。ヘンなのはわかってます、産むにはギリギリの歳の女が何を言ってるんだって話ですが……、急速に心がしぼんでしまって、二度と膨らまなかった。

 45歳を超えたとき、もう子供は無理だと自覚しました。45歳を超えて出産されている方もいらっしゃいますが、私にはきっと無理だろうなと。

■私は子供が産めないけど、それでもいいの?

 婚活サイトに登録したのは、友人がここで出会った人と付き合い始めたという話を聞いたからです。子供を諦めた私がどうしてまだ結婚にこだわるのか、自分でも不思議でした。もしかして、自分が本当に求めていたのは子供ではなかったのではないか、そう考えて混乱しました。大家族こそが幸せなのだという幻想に――それは決して悪い幻想ではないと思うのだけれど――囚われて、大事なものが見えなくなっていたのかもしれない。

 いずれにしろ、これからはシンプルに、自分に合った人を、自分を大切にしてくれる人を探すしかないんだと思い至りました。母になれなかった心の痛みや後悔は今でもありますが、一方で、自分で勝手に担いでいた肩の荷を、ようやく降ろしたような気持ちにもなったのです。

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