左:忘れちゃったけど、練習はした。紙に手の位置を書いてそこに穴を空けて、手の動きを練習したりね。
石倉:私たちはごまかしでやっていたんだけどね、それぞれのパートの先生が、一生懸命で。自分の教え子が少しでもよくなってほしいっていうんで、必死になって教えてくれたんだよね。
笹野:教え方が一生懸命だからね、どんどんハードルも上がってくるんだよ。こちらも応えないとってなるでしょ? そうして確かにレベルも上がっていったんだけど、それを監督に進言するんだよ、「次はこんな角度で撮影できますよ。譜面を外しましょう」とかって。「えっ! そこ、譜面外しちゃうの!?」って、ね。
左:あはははは。
小松:役者っていうのは、本番を撮り終わったら、モニターチェックに行くんですよね。私はそれが大っ嫌いなんで、だから絶対に自分では見ないんです。でも役者より早くそれぞれの楽器のパートの先生がダーってモニターチェックに行くんですよ。自分の教えた子たちがどう映っているか気になるんだろうね。あれがすごかったね。
笹野:そうそう。ぼくらはモニターチェックに誰も行かないんですけど、先生だけがね。
左:それで×とか〇とか出すんだよな。あれはすごかった。
笹野:まあでも、ぼくはこれまで弦楽器は難しいから避けていたんですけどね、おもしろくなってチェロを買いました。映画ではバイオリン担当なんですけど、小さなチェロを買って家でこう(手に持つそぶりで)鳴らしていますね。
左:笹やんは楽器が好きなんだよな。
小松:それはいいよな。私はウクレレとハーモニカしか弾けないけどね。
左:それだって大したものだよ。おれなんて何もできない。
石倉:できないなぁ。
左:でもこの映画で、楽器を一生懸命練習してね。昔はクラシック番組なんか見なかったんだけどさ、今は見るんだぜ。
笹野:聴くだけじゃなく、演奏している人の手元を見たりとか、見方が変わりましたね。
左:そうなんだよ。
石倉:あれは不思議だよな。
小松:そう、体の揺らし方とかね。
左:だから、もう少し早く、こうやって研究すればよかったなって。
笹野:あはははは。
小松:私が研究したのは40年前。昔ね、昔ですよ。つきあっている女の子がいて、それがチェロ奏者だったの。
左:あ~!! そう~!!(身を乗り出して)それは結婚前のことなの?
小松:もちろんですよ。うふふ。やめてくださいよ、変なこと持ち込まないでくださいよ。
石倉:いや、そこはハッキリさせておかないと。
小松:とてもおしとやかでいい女だったんだけど、チェロを持つと、激情型っていうのかな、脚をがばーって開いて、すごい顔で弾いていた。
左:確かに(劇中の)小松の顔はすごかったよな。
石倉:楽器はともかくな。
左:楽器はともかくさ。
石倉:言っちゃったよ…。
※女性セブン2016年11月24日号