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角居勝彦調教師が「厩舎の存在意義」を解説

 思春期の男の子である牡馬は心が弾みやすいので、牡牝を厩舎の真ん中で分けて離します。それでも落ち着かない牡馬の馬房は一番隅っこ。調教で馬房から出ると、「やっと牝馬に会えた!」という感じで色めく牡馬も多いのです。

 色気とは別に、馬同士の好き嫌いもある。それが分かれば馬房を離します。調教場へ向かう隊列でも、あの子の後ろはイヤだとか、あの子が近づくと耳を絞って蹴るとか、相性がある。調教で並走させる場合は相性の悪い組み合わせを避けます。

 馬房は位置も大事で、人が行き来するところをうるさがる馬もいます。角居厩舎は本来の厩舎(20馬房)とは別の場所に10馬房の「離れ」があります。厩舎内の場所を替えて様子を見ても落ち着かない場合には、「離れ」へもっていったりします。

 角居厩舎の場合「離れ」には、経験豊富でどっしりとした古馬を入れることが多い。旧厩舎を使っているため、古くて狭く、本家に比べると設備的にも劣ります。ただ外部の人の出入りが少ないからか、「離れ」のほうが精神的に落ち着くという馬もいる。本家ではうるさかった馬が、「離れ」に移すとすっと落ち着き、カイバもよく食べるようになることは珍しくありません。

 人間でも始終監視されているより、上司や親のいないところの方が力を出せるという人がいますよね(笑い)。

●すみい・かつひこ:1964年石川県生まれ。中尾謙太郎厩舎、松田国英厩舎の調教助手を経て2000年に調教師免許取得。2001年に開業、以後15年で中央GI勝利数23は歴代2位、現役では1位(2016年11月13日終了時点)。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。引退馬のセカンドキャリア支援、障害者乗馬などにも尽力している。引退した管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、エピファネイア、サンビスタなど。

※週刊ポスト2016年12月2日号

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