高橋由美子26歳時の写真集『由美子』より


「被写体の私が年を重ねて変化しているのだから、風景も変化したほうがいいよね。よし、誰も行ってないところで撮ろう……」と当時は考えて、アフリカに行きたいって思ったんです。

 ちょうどその数か月前にテレビのお仕事で一度行ったんですけど、人がただ、「息を吸って、ごはんを食べて、生を営んでいる物体」でいられる場所なんですよ。自然のなかで、自然のままでいられる姿が、美しくて美しくて。撮られるならあそこだ!と。

 黒い下着でベッドに横たわっている写真は、タンザニアのホテルで撮りました。コテージのような建物で、私が横たわっている窓の外には野生動物が来ちゃうんです。この写真のすぐ外にはシマウマやハイエナなんかがいる感じなの! そんな中で撮影しました。

 アイドルから女優に変わる、そんな転機の時期だったから、いろいろと考えたり、感じたりすることがあったんだと思います。

 この写真集ではスタイリストをつけずに、なにを着て撮るか、全部、自分で決めることに。撮影に入る1か月前くらいに、衣装の買い物に出かけました。代官山のお店に入って、「あれと、これと……あれもいいんじゃない?」ってふうに。「彼と旅に出るならば、どんなものを身につけるだろう?」と考えたりして買いそろえるのは楽しかったな。

 白い下着の写真も、伊豆大島にフェリーで渡って、ひなびた宿で撮ったものだけど、あれも、自分で選んで買った下着です。撮影が終わったあとも、ずっと日常で使用もしてました。私物になっちゃって。

 それくらい、普段使いするような感覚で選んだ服や下着ばかりで撮って、ヘアメイクも自分でやったということもあり、写っている写真はどれも……もうね、素の高橋由美子というしかないですね。

 自分が積極的に関わることで、自分が初めて認められた気がしました。その甲斐なのか、写真集を見た男友達に、「こんなに生々しい由美子が写っててヤバくない?」といわれましたね(笑い)。

◆高橋由美子(たかはし・ゆみこ):1974年1月7日生まれ。埼玉県出身。身長154cm。1989年にドラマでデビュー後、翌年歌手デビューし「20世紀最後の正統派アイドル」と評される。現在、ドラマや映画、舞台を中心に活躍し、「さいたま市観光宣伝部長」を務める。11月30日~12月11日に東京・アトリエファンファーレ高円寺で舞台『世界を繋ぐ方法』に出演のほか、来年3月から東京、名古屋、大阪で公演のミュージカル『花・虞美人』に出演予定。公式サイトは、http://www.connie.co.jp/

撮影■細野晋司

※週刊ポスト2016年12月9日号

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