自分でやっててつい笑ってしまうと語る西本喜美子さん
「だから私は、カメラや写真のことはな~んもわからんかった。その主人に“写真を始める”と言ったら、“なんだと!”と怒った調子で言われましてね。でもしばらくして、“これ使え!”と、びっくりするくらい重たいカメラをくれたんです。主人はすごい早口で使い方を説明してくれたんですけど、あれは怒ってたんじゃなくて、びっくりしてたんだなって、その時初めてわかりました(笑い)」
わけがわからないまま始めた写真だったが、仲間ができ、彼らに教えてもらいながら、レンズ越しにいろんなものを見て、撮る生活が始まった。できあがった写真は、決して上手ではなかったけれど、嬉しくて、楽しくてたまらなかった。
そんなある日、今度は夫が少し軽いカメラをプレゼントしてくれたという。
「主人がね、重いカメラを必死に支えて撮ってる私を見たんでしょうね。ビシッと撮れるようにと三脚、アップが撮れるようにとマクロレンズ、それから適正露出で撮れるようにと露出計まで…。本当にありがたかったです。でも正直、余計重くなったんですよ(苦笑)」
何かを始めたいと思ってもなかなか実際に動き出すことは難しい。子供の頃は思うまま自由にできたことが、大人になるとこうも難しいことかと、何度思ったことか。それなのに70才を過ぎてから新しいことに挑戦するなんて、喜美子さんは躊躇しなかったのか?
「70才なんて、まだ若いですよ。それにね、あまり年齢は考えてません。年をとるのが悪いのは、私の場合は腰が悪くて歩けなくなってきていることはそうだけど、でも、それだけです。私は若い人の中に入っていって、教室ではもちろん、最高齢。ふふふふふ。もう本当に迷惑をかけてますね。うふふふふ」
※女性セブン2016年12月22日号