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2016.12.11 16:00  NEWSポストセブン

キュレーションサイトの記者 最底辺にピン留めされ続ける

 あるおっさん雑誌では私は取材のデータ原稿を記事にまとめる「アンカー」という仕事をしていた。あるとき原稿用紙に手書きというデータ原稿が私のところにやってきた。ずいぶん古風だなと思い1行目を読むと、こう書いてあった。

《被験者・小生×××・70歳》

 慌てて編集者のところに行った。

「あのあの、なんて70歳の人がこんなん書いてるの」

「その方、うちでずっと名医の連載をされている医療ジャーナリストなんですよ。医学知識もあって、年齢的にもいちばんバイアグラの効果が大きそうな人なのでお願いしました」

 ふーん、と席に戻りかけて2行目を読んだ。

《パートナー・メアリー・スミス(アメリカ人)・38歳」》

「待って待って、なんでここにアメリカ人出てくるの? この人誰なん?」

「水泳教室で親しくなったらしいんですよ」

「これじゃあ、78歳の人が水泳教室でアメリカ人の女の人をナンパして、バイアグラ飲んでセックスしたデータなの?}

「そういうことになりますね」

「それもうバイアグラの話要らなくない? ナンパの話だけでよくない?」

 私は70歳のデータマンが書いた《小生の下腹部がカッと熱くなり》みたいなデータを記事をまとめた。

 笑い話だが、いま改めて、私の胸の奥がしんとなる。あの歳で身体を張った取材が自分はできるだろうか。自分もあの歳まで仕事ができるだろうか。

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