それとは逆の仕草が頻繁に見られたのは、日本との対談の場面。メディアで流される映像を見る限り、ソチやリマでの安倍首相との会談だけでなく、日本の報道機関によるインタビューでも見られた。それは、つま先を何度か持ち上げたり、足や足先をパタパタと外側に向けて頻繁に動かすという仕草だ。
特に北方領土問題に触れると、プーチン大統領のつま先は大きく持ち上がった。心にひっかかっているテーマ、ストレスの種になる話の時ほど、大統領のつま先は大きく持ち上がる。まるでつま先がストレスのバロメーターのようだ。
パタパタと足踏みするような仕草は、一見するとイライラや不快感を表すと思われがちな仕草だが、同じような話題の時に外側に向けて頻繁に繰り返されたなら、これは移動したいという無意識を表す「ミニチュア動作」と考えられる。この場から早く去りたい、この話題を早く終えたいという軽い拒否の気持ちが、心の内にあるのだろう。
今回の首脳会談でも、冒頭から軽く足首を持ち上げていた。インタビューで「日本との間に、領土問題はない」といった通り、日本側が考える4島返還の枠組みには、最初から応じるつもりがないことを、つま先も示していたことになる。
会談冒頭や話の合間に、大統領は足首を軽く回していることがある。これは心身の緊張をほぐすためだけでなく、ここはひとつ揉んでやるか、という戦闘態勢前のストレッチを兼ねた仕草だと考えられる。
プーチン大統領はこの時、相手から遠い方の足の足首を回すことが多い。相手が右側に座っていれば左足首を回し、相手が左側にいれば右足首を回す。その方が座っている相手の視覚に入りやすく、足首のかき回し弾くような仕草が目に入ることで、無意識のうちに心理的圧力を感じることになる。大統領のことだ。無意識だけでなく、意識的にやっていることもあるかもしれない。
北方領土での「特別な制度」による共同経済活動の交渉が合意され、協議はここからスタートするという。さて、プーチン大統領が日本側との会談で遅刻しない日は、いつになるのだろうか?