米大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏が、約700兆円の大型減税や約65兆円の公共事業を打ち出すなどしたこともあり、日米の株式市場が「トランプ相場」に沸いている。米国の株価は史上最高値を連続して更新し、年央に停滞した日経平均株価も年初来最高値を超え続けた。トランプ政権の誕生と同時進行する世界政治の変化にも、日本の株価に追い風となる動きが多い。
韓国では朴槿恵大統領の早期退任が決まり、経済もGDPの2割を稼ぐサムスンが大幅減益、主力のスマホ事業は赤字に転落した。
世界市場からサムスンが消え行く中、パナソニック、日立、三菱電機など日本の電機メーカーが冷蔵庫、洗濯機、炊飯器などの「白物家電」で利益を上げ始めた。
「現在の白物家電の主戦場は10万円の炊飯器、100万円のテレビ、60万円の冷蔵庫といった高機能の超プレミアム家電。中国などアジア市場でも売れている。世界の市場を席巻してきたサムスンだが、いまや低価格家電では中国メーカーに抜かれ、超プレミアム市場では日本メーカーの牙城を崩せない。サムスンの失脚で、さらに日本家電に追い風が吹く」(家電アナリスト)
そして、南シナ海での中国による米国の無人潜水艇拿捕問題で米中関係は悪化。トランプ氏は日本の円安を容認する一方、世界最大の対米輸出国となった中国には「為替操作している」と人民元の切り上げを迫った。
この米国による“対中包囲網”が元高・円安の動きを加速させ、日本への投資を促す結果となる。
「元高になれば中国製品の国際競争力が低下し、輸出による稼ぎが減る。中国企業や富裕層は“高い元”を海外に投資して利益をあげなくてはならない。中国マネーの一番有利な投資先は円安の日本。急激な円安で割安感が強まった日本の不動産と上昇中の日本株に流れ込むはずです」(外国人向けの投資コンサルタント)
※週刊ポスト2017年1月1・6日号