江上さんはウスターソースの作り方のほか、フィットチーネを「イタリア風うどん」として紹介。飯田さんはバーベキューやコロッケなど本場の西洋料理を日本の家庭でもできるように工夫しながら披露した。
まだ料理教室に通ったり、インターネットでレシピを簡単に知ることもできなかった時代、多くの主婦はビデオもなく録画できないため必死にテレビの前でチラシの裏にメモを取りながら初めての洋風料理を学んでいった。
いつものちゃぶ台にグラタンやホワイトシチューが並んだ時の感動を、当時子供だった人たちは今も忘れない。
「ホワイトシチューを初めて食べた時は、“こんな白いスープがあるの?”って驚きました。私があんまり好きなので、母は誕生日には必ず作ってくれました」(66才女性)
「私にとってのおふくろの味はグラタンです。マカロニとじゃがいもが入っているだけだったけど、本当においしかった。今でもその味を思い出して、たまに夫に作ってあげることがあります。夫も“こういうの食べてたな。懐かしいな~”と言って喜んで食べてくれますよ」(67才女性)
とはいえ、まだ洋風料理の材料が一般に普及していなかったため、当時のレシピは今とは少し違う。
「当時のテキストを見ると、例えばブラウンソースを作るのに、トマトピューレの代替品としてケチャップが書かれていたり、とろみをつけるために片栗粉を水で溶いて入れるように書かれていたりするんです」(河村さん)
驚きなのは「まつたけ」の扱いだ。
「昭和33年の秋のテキストには“マッシュルームがなければ、代わりにまつたけを”と書かれています。それもメーンではなく、刻んで混ぜるといった使い方。旬のまつたけはその頃、安くて簡単に手に入る食材だったんですね」
と河村さん。今にして思えば、なんて贅沢だったんだろう…。
※女性セブン2017年1月5・12日号