「日本人だもの、やっぱり日本美術でしょう」という方は……。

●「岩佐又兵衛と源氏絵 <古典>への挑戦」

 岩佐又兵衛は、「江戸初期の生命力と退廃美をきわめた絵師」(美術評論家・辻惟雄)。天才絵師の名にふさわしい見事な筆さばき。イキイキとした輪郭線。上気した頬が妙に生々しくふっくらとしていて、「退廃美」という指摘も納得です。

 又兵衛は数奇な運命の人でした。父は戦国武将、織田信長の家臣・荒木村重。信長に重用されていた村重ですが、突然反逆を企てた。怒った信長は、荒木一族を処刑してしまう。母を殺された数え年2歳の又兵衛は、寺に預けられ波乱の絵師人生が幕を開けます。

 その又兵衛が生涯にわたって描き続けた画題の一つが「源氏絵」。平安貴族を描いた絵の中に、又兵衛ゆえの巧さと雅び、そしてなんとも生々しい質感が。「優雅にして野卑」(公式HP)な魅力を発見できそう。

東京・丸の内 出光美術館(1月8日〜2月5日)

 そして桜の舞う春にも見逃せない大展覧会が待っています。国宝級の茶道具がずらり勢揃い。

●「茶の湯」展

 タイトルは実にあっさりしていますが、中身はド級。足利義政、織田信長ら天下人ゆかりの茶碗、千利休が愛した名碗、国宝の茶碗の数々。まさに「名碗オールスターズ」と呼ぶにふさわしいきらびやかな舞台。1980年に東京国立博物館で開催された「茶の美術」展以来、なんと37年ぶりの大展示。

 この貴重な機会、見逃してなるものか。

東京国立博物館(4月11日~6月4日) 

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