◆“エロ”は叩かれる
1980年代半ば、姉の妊娠を機に家業を手伝うため帰郷した亀山は、レンタルビデオ店を立ち上げる。店舗は順調に増えた。しかし『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を見た亀山は映画を電波で送れる時代の到来を予感して「ビデオ屋はダメになる」と、AV業界に参入する。神出鬼没のゲリラらしいエピソードだ。
──すごい先見の明ですね。
「でも、みんなが見ているものしか見てないですよ。映画とマンガ、あとは『NHKスペシャル』。これからは太陽光だとか、アフリカが熱いとか。偉い人たちが未来を教えてくれるんです。やらなきゃと思うでしょう」
──それにしても、なぜアダルトに参入したんですか?
「これからはコンテンツだと考えていたから映画を作りたかった。でも、映画は金がかかりすぎる。じゃあ、アダルトか、と。エロに思い入れがあるわけじゃなかったけど、売るための仕組み作りが面白かった」
仕組み作りとは、卸売業を通さない直販ルートの開拓や、レンタルされたジャンル、女優などのデータから2年後にどのタイトルでどれくらい稼げるかを予測するシステム開発である。これがAV界に革新をもたらした。