それを中居にぶつけると、照れくさそうな顔をしつつも、「当たり前なんで」と、なぜ、そんなことに驚くのかというリアクションだった。つまり、ゲストのことを調べあげて当たり前。台本に書いてないことでも挟み込んだらいいと思うコメントを忘れないようにメモして当たり前…という表情だった。
インタビュー途中、私が「丸くなりましたよね?」と言ったときのリアクションも印象的だった。「年とって、頬っぺたが下がって来たからじゃないですか?」と言った中居。
その数年後である。中居の父が苦しい闘病生活の末、亡くなられたこと。その父の病院に中居が通い詰めていたこと。さらに、中居自身が入院していたことなどが事後報告として彼の口から明かされた。加えて、若い頃からの自分をよく知ってくれていた俳優・今井雅之さんが志半ばで亡くなるのだ。…などなど、公私にわたり、中居がさまざまな辛い経験を重ねていたことを私たちは知る。
ちょうどその頃、中居がCMイベントで「単独では初の囲み取材」を受けたことがあった。心無い質問が飛び、それを静止する関係者との小競り合いもあったなか、中居が絶妙な仕切りで和気藹々とした雰囲気で結んだことは、以前このコラムでも書かせてもらった。
そのタイミングから、業界内で「中居くんの神対応」が話題にされるようになった。
酸いも甘いも噛み分けた大人の男に成長したからなのだろうか? それとも我々マスコミが知らなかっただけで、中居正広はもともと情に厚い、気配りの男だったのか?
私はバラエティー番組の放送作家で多くの芸人と交流があるのだが、ここ数年、彼らから聞く中居の評判というのが、その「神対応」を超えたものばかりなのである。
その多くは「気遣いの人」というもので、差し入れやお見舞いを小まめに届けてもらったとか、身内が亡くなったとき「お線香をあげに来てくれた」など、「なかなかできない」と思うようなことだらけ。
『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)最後の収録に、中居が『叙々苑』の高級焼肉弁当を大量に差し入れたことや、スタッフ全員に名前入りのスニーカーを贈ったこと。さらには、『世界に一つだけの花』を歌い終わった後、一人後ろに下がり、カメラに背を向け、明らかに泣いていたにもかかわらず、最後はメンバーと共に全員と写真撮影をすることを提案したこと。その際、満面の笑みを浮かべ、中居の傍らに立つスタッフの肩に手をまわした様子は、過去に関わった全員の名前が記されたエンドロールと共に、スタッフの宝物になったハズだ。
差し入れについては私も想い出がある。中居が主演映画『ATARU』のPRのため、私が構成に参加していた『ジェネレーション天国』(フジテレビ系)に出演したときのことだ。「他局(TBS)の映画なのに、申し訳ないですねぇ」と終始恐縮していた中居は、なんと翌週の『ジェネレーション天国』の収録の際、「先日はありがとうございました」というメッセージ付きで、豪華なサンドイッチを大量に差し入れてくれたのだ。