国内

新宗教の信者激減 10年後に消滅する教団も

安保関連法の反対集会で掲げられた三色旗 共同通信社

  日本の新宗教界に異変が起きている。天理教、立正佼成会など大手の信者数が軒並み激減しているのだ。その背景には何があるのか、宗教学者の島田裕巳氏が解説する。

 * * *
 創価学会の信者数は今のところ横ばいだが、他の新宗教に目を向けると信者数の減少に歯止めがかからず、もはや消滅の危機を迎えている。

 文化庁「宗教年鑑」にその傾向ははっきり表れている。江戸末期に成立した天理教は1990年に約180万人いた信者数が2015年に約117万人と、25年間で3分の2に縮小している。

 立正佼成会も同じ期間に約633万人から約283万人と半分以下にまで落ち込んでいる。注目すべきは、2014年から2015年の1年間だけで実に26万人減少していることだ。このペースで減り続けると約10年後には教団は消滅する計算になる。

 この背景にあるのは先進国に共通する「宗教消滅の危機」と同じ理由による。

 1990年代以降にインターネットが普及し、人は何か悩みを抱えても、教会の門を叩くより、まずはネットで検索するようになった。

 日本人の多くは欧米では日曜日に教会に行くものと誤解しているが、ヨーロッパではミサに集まるのは高齢者ばかりで、その数も年々減っている。アメリカでさえ無宗教が増えている。

 そうした社会ではすでに宗教的カリスマを必要としなくなり、心の拠り所は“ゆるキャラ”で充分ということになる。

 日本の新宗教が信者を増やしたのは、高度成長期に地方から都会に出てきた人を取り込めたことにある。希薄になった人の繋がりを宗教に求めたからだ。しかし、現代の若者は何か困ればスマホがあり、人間関係はSNSで築く。それでは宗教の出る幕がない。

 その意味では、創価学会も同じかもしれない。聖教新聞を配るバイトは敬遠され、日々の生活で経を読む勤行をあげれば報われるといった信仰心は薄れていく。しかし、前述したように、宗教を超えた日常を基盤とする組織を構築できたことが、他の新宗教にはない強みとなっている。

 新宗教の教団が軒並み消滅した後でも、その枠を超えた創価学会だけが、人的ネットワークの強みを発揮して生き残る可能性は高い。

※SAPIO2017年2月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン