睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、顎が小さいなどの骨格の問題や肥満、加齢が原因で起こる。睡眠時の10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まる)が無呼吸とされ、1時間あたり、5回以上の気流停止がある場合はSASと診断される。
睡眠時に、一時的に呼吸が止まるため、息苦しさに何度も目を覚まし、起床時に倦怠や疲労を感じ、日中に激しい眠気などが起こる。40~60歳の男性を中心に、現在200万人以上の患者がいると推計されている。
SASは、高血圧や糖尿病の原因や動脈硬化を促進し、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが高まるなどがわかっている。さらに交通事故や仕事中の事故などの原因になり、社会的にも問題となっている。
順天堂大学医学部公衆衛生学教室の谷川武教授に聞いた。
「SASは、夜中に何度も目を覚ますことで、睡眠の質が低下し、慢性の睡眠不足状態となり、日中に猛烈な眠気を感じることがあります。しかし、交通事故や転落事故などを起こした人の中には、重症のSASなのに、日中に眠気を感じないため、自分が患っていることに気づいていない方が大勢います。結果、事故前にSASが発見されず、事故に繋がった例も多く報告されるようになってきました」
SASは、気道が狭くなることで発症するため、睡眠中にいびきが大きくなり、家族の指摘で病院を受診し、SASだと診断されるケースも多い。