国内

小林よしのり氏「わしが『天皇論 平成29年』を描いた理由」

『天皇論 平成29年』を上梓した漫画家・小林よしのり氏

 昨年8月8日に天皇陛下が生前退位のご意向を表明されてから、与野党で「一代限りの特例法」か「皇室典範改正」かで意見が割れている。このたび『天皇論 平成29年』を上梓した漫画家・小林よしのり氏は、「皇室典範改正」でなくては陛下のご意向に沿えないと危機感をあらわにする。同氏が新刊を描いた理由を明かした。

 * * *
 わしは昨夏の「平成の玉音放送」を聞いて、国民の一人として申し訳なく思った。

 小泉政権で女性・女系天皇の案が流れてしまい、さらに野田政権では「女性天皇・女系天皇・女性宮家」の案は潰されてしまった。皇位継承は男系男子しか許さないというノイジーマイノリティーが存在するからだ。彼らから支持されている安倍政権は皇室典範の改正にはどうしても着手しようとしない。

 政治家がまったく動こうとしないなか、とうとう陛下は皇太子に譲位することで典範改正をしてもうらしかないと考えるに至ったのだ。

 政府が陛下のご意向を無視するから、陛下は国民に直接訴えるしかなかったのである。

 天皇陛下をここまで追い込んでしまったのは、政治家だけでなく、国民一人ひとりの責任でもある。その意味で、わしは申し訳なく思ったのだ。これまで典範改正の必要性を訴え続けてきたが、力が及ばなかった。

 わしは平成21年(2009年)に『天皇論』を発表してベストセラーとなったが、陛下のお言葉を受けて、あらためて読み直してみると、「もう通用しない」と感じる箇所もあった。天皇陛下がわしの考えを変えたのだ。

『天皇論』を生まれ変わらせなければならないと決意し、わしは直ちに『天皇論 平成29年』の制作に着手した。大幅に描き直し、さらに陛下のお言葉によって見えてきたことをたっぷり描き下ろす必要があった。結果、漫画だけでも100ページを超す描き下ろしとなり、総ページ数が552ページという、とてつもなく分厚い大作となった。

『天皇論 平成29年』では、陛下のお言葉の真意を徹底的に分析している。陛下は最後に「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」と仰った。皇位の安定的継承は陛下の悲願である。それを「一代限りの特例法」で済まそうという安倍政権・自民党の動きは天皇陛下への恐るべき侮辱である。

 本書では、「愛国」「尊皇」を口にしつつも実は陛下のご意向を無視する逆賊が誰であるかを明らかにしている。また、「天皇」「皇室」について、とことん考え抜いて、本当に必要なのか、国民は欲しているのかまで含めて徹底的に論じている。

 日本という国の根幹にかかわる「天皇制」を知り、日本の国柄を知る最良、最強の書であると自負している。ぜひ、熟読してほしい。 

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
立花孝志容疑者(左)と斎藤元彦・兵庫県知事(写真/共同通信社)
【N党党首・立花孝志容疑者が逮捕】斎藤元彦・兵庫県知事“2馬力選挙”の責任の行方は? PR会社は嫌疑不十分で不起訴 「県議会が追及に動くのは難しい」の見方も
週刊ポスト
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン