「これによって三浦九段の処分に荷担した理事はほぼ一掃された。つまり、告発者と位置づけられている渡辺竜王を守ろうとする人が、連盟執行部からいなくなったことを意味する」(同前)
結果、冒頭のように臨時総会で渡辺竜王が詰問され、答えに窮するような場面も出てきたのである。
「渡辺さんは厳しい立場に追い込まれる。一方で竜王は名人と並ぶ棋界最高位。アマチュアの段位認定の免状に一枚一枚、揮毫する役割もある棋界の“顔”です。周囲が公然と追及すれば、棋界全体が揺らぐ」(スポーツ紙の将棋担当記者)
連盟内で対立がさらに深まりかねない状況を憂いているのは、財テク棋士として知られる桐谷広人七段だ。
「問題は、三浦君を『クロ』だとして処分した理事を批判する人たちが、今度は渡辺君を吊るし上げようとしていること。第三者委の結論は『三浦君をクロと断定する証拠もないが、理事会の判断もやむを得ない』というものでした。なのに結局、渡辺君を批判する流れが作られている。
今回、一部のベテランが委任状集めに奔走したようですが、彼らは三浦君をクロにした人たちに意趣返しをしようとするばかり。そういうやり方に批判的な人たちも出てくる。このままでは連盟はまとまりませんよ」
当然ながら三浦九段への補償問題なども未解決のまま。まさに、火種が増えるだけの結果となったのだ。
※週刊ポスト2017年3月17日号